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2018年10月3日(水)

主張

安倍政権改造人事

崩れた「土台」で暴走の加速か

 自民党総裁に3選された安倍晋三首相が自民党役員と内閣改造の人事を行いました。安倍氏は、「しっかりとした土台の上に、多くの皆さんに活躍のチャンスをつくる」と発言してきましたが、「森友」問題などで責任が問われた麻生太郎副総理・財務相の留任、かつて「口利き」問題で辞任した首相の盟友・甘利明元経済再生相の党四役就任など、世論に背を向けた驚くべき顔ぶれです。自民党総務会長に首相に近い加藤勝信前厚生労働相を、自民党改憲推進本部長に首相側近の下村博文元文科相を据えるなど改憲シフトも露骨です。

「論功行賞」“お友だち”

 1年前に発足した第4次安倍政権の最初の改造となる今回の人事は、閣僚では麻生氏のほか、河野太郎外相や世耕弘成経済産業相、石井啓一国土交通相(公明)、菅義偉官房長官、茂木敏充経済再生相、自民党役員では二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長らが留任、代わり映えしない顔ぶれです。安倍氏に近い議員や総裁選で安倍氏を支持した議員の起用も目立ち、「論功行賞」“お友だち内閣”復活の様相です。総裁選で争った石破派からの起用は、1人です。

 とりわけ重大なのは「森友」問題や前事務次官のセクハラ問題などで監督責任が問われてきた麻生氏を「土台」と称して“いの一番”に留任させたことです。国有地を格安で払い下げ、首相のウソに合わせて国会虚偽答弁や公文書を隠ぺい・改ざんした「森友」問題では部下の佐川宣寿前国税庁長官をかばい続け、辞任が迫られてきた麻生氏の留任は世論に背くものです。首相がこれを「土台」と呼ぶなら、それこそ腐りきった土台の上の、改造政権というほかありません。

 首相が麻生氏の留任を経済政策「アベノミクス」の継続のためだと説明していることも、来年10月からの消費税増税強行などをにらんだものとして重大です。

 自民党の幹事長、総務会長、政調会長と並ぶ党四役の一人、選対委員長に起用された甘利氏も、かつて都市再生機構(UR)から建設会社に払われた巨額の補償を秘書と一緒に「口利き」し、大臣室などで金銭を受け取った疑惑で追及されました。甘利氏は閣僚の辞任だけで起訴されませんでしたが、そうした甘利氏を公然と復権させるところにも、安倍政権の国民無視の姿勢は明らかです。

 安倍首相は総裁選前から、自民党の改憲案を次の臨時国会に提出すると公言しています。党内を取りまとめる総務会長と、改憲推進本部長にいずれも自らに近い議員を起用したのは、首相の執念を示す改憲シフト(布陣)です。国民の多くは安倍改憲を支持していません。改憲阻止は喫緊の課題です。

退陣迫るたたかいを

 自民党と内閣の人事を終えた安倍政権はいよいよこれから秋の臨時国会や改憲、予算が焦点となる来春の通常国会、統一地方選挙や参院選挙に向けた活動を本格化させます。安倍首相は総裁選で、総裁としての任期中の3年間に改憲に「チャレンジ」することや消費税増税の強行、社会保障「改革」「戦後外交の総決算」などに取り組むことを公言しました。

 国民の暮らしと平和を脅かす安倍政権の暴走を許さず、総裁としての任期を待たずに退陣に追い込む国民のたたかいが重要です。


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