2018年10月2日(火)
戻らない住民■今も苦難続く
責任認め賠償拡大を
生業訴訟控訴審 仙台高裁で初の口頭弁論
「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が1日、仙台高裁(市村弘裁判長)でありました。
原告側は、中島孝原告団長、南相馬市小高区の70代女性、原告代理人が大津波についての予見可能性、原発事故を回避できたかなどについて意見陳述しました。
中島団長は、「一審判決に続き、国と東電の法的責任を明快に認め、あわせて一審判決では認められなかった賠償対象者を広げ、賠償水準を高めさせ、なんとしても被害を認めて救済を図っていただきたい」と強調。さらに、「被害者が声を上げ、司法もその勇気を鼓舞し、社会正義を確立したと後世に語り継がれるような、勇気と正義にあふれる判断をお示しくださるよう心からお願い申し上げます」と陳述しました。
南相馬市小高区の70代女性は、避難指示が解除されても「住民は戻ってきません。夫は生業としてきた木工業を再開することはできません。原発事故がなければ、孫が跡を継いで、夫は今でも一緒に木工業を続けることができていた」と、今も苦難が継続している実態を切々と訴えました。
原告団・弁護団、支援者約300人は、仙台市内をデモ行進し裁判勝利と原発ゼロを訴えました。法廷終了後に開かれた交流集会、報告集会で、連帯あいさつに立った宮城県労連の高橋正行議長は「宮城県では女川原発の再稼働をめぐって是非を問う住民投票が明日から始まる」とのべ、住民投票成功への決意を表明しました。
次回12月の口頭弁論で、現地検証、本人尋問をするかについて決定します。