2018年9月21日(金)
石綿 建材メーカーも責任
大阪高裁 「一人親方」救済も命じる
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建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんなどの重篤な疾患を発症した建築作業労働者とその遺族(原告33人、被害者19人)が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた関西建設アスベスト大阪訴訟(第1陣)の控訴審判決が20日、大阪高裁でありました。江口とし子裁判長は国の責任に加え一審で棄却された建材メーカーの責任と、「一人親方」といわれる個人事業主への国の賠償責任も認める判決を出しました。国とメーカーには総額3億3900万円の支払いを命じました。(関連記事)
国の責任を認めた司法判断は今回で10回目。白石綿も含むすべての石綿建材の製造使用を禁止することが遅れた国の責任を高裁で初めて認め、違法とする時期を1991年末(一審は95年)へさかのぼらせました。
建材メーカーについてはA&AM、積水化学工業やニチアスなど主要な原因をもたらした企業8社の共同不法行為責任を肯定しました。また、石綿を含む建材の普及は国の住宅政策に起因する面があるなどとして国の責任割合をそれまでの3分の1から2分の1へと重くするとともに企業の責任もこれまでより高め、国と企業の責任を厳しく断罪しました。
原告団・弁護団と関西建設アスベスト訴訟統一本部は同日、声明を発表。「建設アスベスト訴訟のすう勢は決した」とし、「これ以上解決を引き延ばすことは許されない」と強調。国と建材メーカーに対して「石綿被害者補償基金制度」の創設を求め、全ての建設アスベスト被害者の救済へ今後も奮闘するとしています。