2018年9月20日(木)
第43期 囲碁新人王戦 あすから決勝三番勝負
中堅と若手、注目の対決
大西研也三段(23)対広瀬優一二段(17)――入段7年目の中堅と入段3年目の新人との対決となった第43期囲碁新人王戦(しんぶん赤旗主催)の決勝三番勝負は21日(金)に東京都千代田区の日本棋院で開幕します。公式戦では1回の対戦があるだけ(広瀬勝ち)ですが、同じ研究会に参加して互いに相手をよく知る仲。一日の長を示すか、勢いに乗ってかけ上がるか、見どころは尽きません。
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気負わず個性出したい
広瀬二段は、新人王戦は初の本戦出場で初の決勝進出です。
16年は13勝5敗、昨年は20勝10敗、今年はこれまで18勝9敗です。
「入段したての頃は自信があったのですが、思ったような成績を取れず、プロの洗礼を受けた感じです。それだけに新人王戦で決勝に進めたことはラッキーで奇跡だと思っています」
昨年は予選で藤沢里菜女流三冠に敗れました。今期は、1回戦、2回戦とも逆転勝ちができて自信がついた、と振り返ります。「形勢の悪い碁も粘り強く打って勝負どころで勝機をつかむことができた」と内容にも満足している様子です。
決勝の相手の大西三段については、「序盤が強く地で先行するタイプ。ミスがすくないので(決勝は)長期戦になるのではないか」と、予測しています。
決勝三番勝負では「自分の個性を出せる碁を打ちたい」と言います。
新人王戦、昨年の決勝では記録係を務めました。16年の大西竜平新人王、昨年の芝野虎丸新人王の表彰式にも参加。「決勝の大舞台に気負わず、でもふたりに続きたい」と闘志を見せました。
ひろせ・ゆういち 2001年8月9日生まれ。東京都出身。藤澤一就八段門下。16年入段、17年二段。日本棋院東京本院所属
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貴重な経験、勝ちたい
「新人王戦はネット中継されて、記録もついて、棋譜も新聞に掲載されて、若手にとってぜいたくな棋戦」という大西三段。
「2回戦の横塚力三段戦は序盤で失敗して、はっきり負けだった。ヨセで大逆転して半目勝ちできて調子に乗れた」と今期新人王戦のポイントとなった対戦を振り返ります。
入段7年目。NHK杯戦で4年も記録係を務め、ご存じのファンも多いはず。6回出場の新人王戦ではベスト8がこれまでの最高記録でした。
「地にからいタイプ。しのぎがうまいですね」。相手の広瀬二段の印象を語ります。
「番碁は貴重な経験です。(新人王戦出場の若手のなかで)自分の立ち位置も分かっているつもりなので、このチャンスをプラスにできるかどうか」
ここ数年、自分より年下が優勝して新人王戦を“卒業”していきました。ようやく自身が決勝の大舞台に立てたことを大きな正念場と捉え、静かな闘志を燃やしています。
「(決勝三番勝負は)勝ちたい。序盤でリードし逃げ切れれば良いですが、苦しくなっても諦めず対応したい。ポカだけはしないよう気を付けます」
おおにし・けんや 1995年7月27日生まれ。千葉出身。2012年入段、14年二段、16年三段。日本棋院東京本院所属
気合の広瀬、自然体の大西
観戦記者 中村智佳子さんの話
囲碁決勝三番勝負の見どころを、第1局の観戦記者、中村智佳子さんに聞きました。
決勝三番勝負に名乗りを上げた2人。
大西三段はNHK杯の記録係としておなじみの棋士。
大西竜平元新人王とは兄弟ではないが、ふたりの大西が強いことが証明された。
広瀬二段は藤澤一就八段門下、兄弟デシの上野愛咲美女流棋聖とは同い年で同期入段と、ライバルの条件がそろっている。
上野の活躍は、おおいに刺激になったと語る広瀬。
今年の目標は「若手棋戦での優勝」を挙げたという広瀬、気合十分である。
一方の大西は、気負わないタイプ。
棋士仲間は「彼は天才肌、乗っているときは強い」と語る。
気合の入っている広瀬、自然体の大西、注目の対決である。
決勝三番勝負の日程
第1局 9月21日(金)
東京・日本棋院
立ち会い 大矢浩一九段
第2局 10月1日(月)
東京・日本棋院
立ち会い 神田英九段
第3局 10月8日(月)
東京・日本棋院
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