2018年9月15日(土)
生活保護基準下げ許さない
1万人審査請求呼びかけ
利用者ら安倍政権の姿勢批判
安倍政権が10月から段階的に生活保護基準を最大5%引き下げることを決定した問題で、保護利用者や貧困問題に取り組む団体は14日、厚生労働省で記者会見し、全国の生活保護利用者に「1万人の審査請求運動」を呼びかけました。
審査請求は、行政の決定に不服がある場合に行う権利です。2013年の生活保護基準の大幅引き下げ時にも呼びかけ、2カ月間で1万人が応じました。全ての審査請求が棄却され、現在全国で「いのちのとりで裁判」をたたかっています。
生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤廣喜弁護士は、最貧困層の水準に合わせ生活保護基準を引き下げることが大問題だと指摘。「生活保護基準は年金や最低賃金、就学援助の基準などに関連している」と述べ、安倍政権の最低生活保障引き下げの姿勢を批判しました。
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)の安形義弘会長は「国民全体の貧困を考える運動として取り組みたい。保護利用者の生活実態を知ってほしい」と語りました。
生活保護を利用する東京都の男性(49)は自身を「室内ホームレス」と表現。エアコンはあっても使用せず、ガス代節約のために洗面器に水をためて体を洗うといいます。食事は1日に1食か2食。「お金を使わないよう、食べて寝て近所を散歩するしかできない。人付き合いも婚活もできない。こんな生活なのにさらに引き下げるのはおかしい」と怒りを込めました。
10月からの生活保護基準引き下げ 安倍政権は10月から2020年10月まで段階的に、生活扶助費を最大5%引き下げることを決定しました。削減総額は年間210億円(国費分は160億円)で、削減対象は生活保護利用世帯の7割近くに及びます。一人親家庭の母子加算や児童養育加算など、加算の多くが引き下げられ、子どもが多い世帯ほど削減幅は大きくなります。