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2018年9月13日(木)

中国・アフリカ協力フォーラム首脳会合

「運命共同体」打ち出す

経済・安全保障などで協力推進

 【北京=釘丸晶】中国の今年最大の外交イベントの一つである中国・アフリカ協力フォーラム首脳会合(3~4日、北京)は、相互関係を緊密にする「北京宣言」と、2019年から3年間の具体的事業などを盛り込んだ「行動計画」を採択しました。会合では、経済や安全保障などで協力を進める中国とアフリカの「運命共同体」が強く打ち出されました。

 開幕式で演説した習近平国家主席は「中国は世界最大の発展途上国であり、アフリカは発展途上国が最も集中する大陸で、中国とアフリカは早くから苦楽を共にしてきた運命共同体だ」と強調。「中国・アフリカ運命共同体」の姿として、(1)共同責任(2)協力ウィンウィン(相互利益)(3)幸福の共有(4)文化共栄(5)安全保障の共同構築(6)調和共生―の6項目を挙げました。

「巨大な市場だ」

 中国がアフリカとの関係を重視する理由は何か―。中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所情報研究室の王洪一主任は、4日付の中国共産党機関紙・人民日報で「アフリカは潜在力のある巨大な市場だ」と指摘します。

 「中国は資本、生産能力、技術を持っている。アフリカが求めているのは工業化への着手だ。資金や就業が必要で、国家経済が『地下資源』だけに頼る状態から抜け出す必要がある」と説明。中国とアフリカの生産能力の相互補完性は非常に強いと強調します。

 中国はアフリカから豊富な資源を輸入。銅や綿花、石油などの輸入量が多く、中国のエネルギー安全保障上の大きなメリットになっているといいます。

 中国とアフリカの貿易額は、フォーラムが始まった2000年の100億ドル(約1兆1000億円)から昨年は1700億ドルに拡大。中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」の重要地点としてインフラ建設が進められ、中国の軍事拠点も設けられています。

五つの「しない」

 これに対し、欧米諸国からはアフリカ諸国を借金漬けにして、影響力を握る「新植民地主義だ」との批判が上がっています。

 4日付英BBC中国語版は、16年のアフリカ各国の中国への債務が300億ドルで過去最高となり、「債務のわな」にはまっていると指摘。中国企業がインフラ建設をし、アフリカ企業が利益を上げられないとの不満もあります。

 これに対し習氏は演説で五つの「しない」を強調しました。▽国情にあった発展の道に介入しない▽内政に干渉しない▽意思を無理やり押し付けない▽援助に政治的条件を付けない▽政治的目的で投資や融資をしない―と懸念払拭(ふっしょく)に努めた上で、アフリカを植民地としてきた欧米諸国をけん制しました。

 フォーラムで習主席と共同議長を務めた南アフリカのラマポーザ大統領が「アフリカの発展に対する中国の貢献に感謝する」と発言するなど、アフリカ各国の首脳からは歓迎の声も上がっています。


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