2018年8月28日(火)
ヒグマが絶滅グマと混血
ゲノムに痕跡
研究グループ発表
現在生きているヒグマのゲノム(全遺伝情報)に、すでに絶滅したホラアナグマの痕跡が残っていることがわかったと、ドイツ・ポツダム大学などの国際研究グループが、科学誌『ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション』(27日付)に発表しました。2種のクマが混血していたことを示しているといいます。
ホラアナグマは、更新世(約258万年前~約1万2000年前)の後期にヨーロッパやアジア南西部に生息していました。洞窟で骨が発見されることからホラアナグマと呼ばれます。更新世の終わりとともに姿を消しました。
研究グループは、オーストリア、スペインと、コーカサス地方のアルメニアの洞窟で見つかった7万1000年前~3万4000年前に生きていた4匹のホラアナグマの骨のゲノム塩基配列を調べ、現在および古代のヒグマ、ツキノワグマ、メガネグマ、パンダ、ホッキョクグマなどのゲノム塩基配列と比較しました。
その結果、現在および古代のすべてのヒグマのゲノムに0・9~2・4%の割合でホラアナグマ由来のDNAが含まれていることがわかりました。ホラアナグマのゲノムにもヒグマのDNAがわずかに含まれていました。
これまで、ヒグマとホッキョクグマが混血していたことは知られていました。現生人類(ホモ・サピエンス)のゲノムにネアンデルタール人やデニソワ人のDNAが含まれていることも判明しています。しかし、人類以外に絶滅した動物のDNAが現在生きている動物のゲノムに含まれている例が見つかったのは今回が初めてだといいます。