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2018年8月28日(火)

主張

安倍氏の出馬表明

国民の疑問に説明はないのか

 安倍晋三首相(自民党総裁)が、9月に行われる自民党総裁選への出馬を正式に表明しました。総裁選(9月7日告示、20日投票)は、安倍氏と石破茂・元同党幹事長の一騎打ちになる見込みで、安倍氏の有利が伝えられます。与党第1党の総裁選は、首相の座に直結します。自民党総裁の任期は3年で、安倍氏は出馬表明で「あと3年、総裁として、総理大臣として、日本のかじ取りを担う」と表明しました。それならば自民党内での議論だけでなく、国民の疑問に対しても答える責任があります。

「もりかけ」にまず答えよ

 とりわけ安倍政権下でこの1年以上政治の大焦点になりながら、国民の疑念が解消していない「森友・加計」などの問題や、安倍氏が総裁選を前に突然言い出した「次の国会」に自民党の改憲案を提出するという憲法問題、安倍政権が6年近く取り組んできた「アベノミクス」など経済問題の是非、米朝首脳会談など激動する外交・国際問題にどう対処するのかなどの説明は欠かせません。

 安倍首相や妻の昭恵氏関与が強く疑われる森友学園への国有地の格安払い下げなどは、首相が国会で「私や妻が関係していれば首相も議員をやめる」とまで答弁したのに、解明は尽くされず、前代未聞の国会での虚偽答弁や公文書のねつ造、改ざんなどが大問題になりました。首相の「腹心の友」が理事長の加計学園の獣医学部開設をめぐり、首相周辺が便宜を図ったのではないのかとの疑惑も、愛媛県などの面談記録を首相や学園が一方的に否定するだけで、疑念は深まるばかりです。

 国民の7割、8割が解明されていないとしているだけでなく、先の通常国会の閉幕にあたっては大島理森衆院議長でさえ、「民主主義の根幹を揺るがす問題であり、行政府・立法府は深刻に自省し、改善を」と述べました。通常国会の閉幕後も何の説明もなく、総裁選でも一言も触れないというのは不誠実で無責任です。

 安倍氏が総裁選への出馬を事実上表明した地元山口県での講演会(12日)で突然言い出した、「次の国会」に自民党としての改憲案を出すという主張も、憲法という国の基本政策に関わる問題であり、総裁選で持ち出すこと自体、異常です。憲法9条に自衛隊を書き込むなどの改憲に執念を燃やす安倍氏は、通常国会でも改憲発議を狙いましたが、自民党案も正式決定できず、国会での議論も進みませんでした。総裁選を機に、一気にことを成し遂げようというのか―。安倍氏の出馬表明を伝えた27日付各紙に報道された共同通信の世論調査では、49・0%と半数近くの国民が首相の意向に反対しています(賛成は36・7%)。自民党内の議論に乗じて、改憲を加速させるのは許されません。

“自画自賛”で暴走か

 安倍氏は総裁選の出馬表明で、この6年近くで「まっとうな経済を取り戻し、外交においては日本の大きな存在感を取り戻せた」と言いました。しかし、「アベノミクス」で大企業や大資産家は潤っても国民の暮らしは良くなるどころか貧困と格差が拡大しています。外交面でも、核兵器の廃絶や朝鮮半島の問題で、世界の流れに背を向けた政権の姿勢があらわです。

 自画自賛で暴走するのでなく、疑問に真摯(しんし)に答えるべきです。


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