2018年8月25日(土)
横田拠点特殊作戦 米空軍オスプレイ
低空飛行ルートで訓練か
住民「飛んでほしくない」
米軍は空軍特殊作戦機CV22オスプレイを10月1日に横田基地(東京都多摩地域5市1町)に正式に配備することを周辺自治体に通知しました。すでに6月28日以降、横田基地を拠点に、日本各地での訓練が本格化しています。新潟県境に近い福島県内では2機の飛行が目撃されるなど、米軍の低空飛行ルートを使った訓練を実施している可能性も出てきました。(佐藤つよし)
福島と新潟の県境
|
新潟県境の福島県金山町に住む角田浩さん(76)は21日午後4時33分ごろ、いつもと違うヘリコプターの爆音に気づきました。音の方向を見ると、2機のオスプレイが自宅近くの沼沢湖上空を南から北、山形・宮城県方向に向かって飛行しているのが見えました。午後5時10分ごろには、2機が少し北側の新潟県寄りを南西方向に飛んでいきました。
横田基地の監視活動を続けている東京都羽村市の羽村平和委員会によるとこの日、午後3時54分に2機が離陸、午後5時53分と57分に1機ずつ着陸しています。この機体が新潟・福島県境方面へ飛行し、戻ってきたとみられます。
角田さんは「翼の両方にプロペラがある独特の形だから、すぐわかった。時々事故を起こす飛行機だから飛んでほしくないね」と話します。
金山町は米軍が山岳地帯など全国に設定している低空飛行ルートのうち長野・岐阜県境の北アルプスから新潟県と長野、福島、山形の各県の境を通る「ブルールート」の直下にあたります。
東北には太平洋側に「グリーンルート」、日本海側に「ピンクルート」があり、それぞれの北端は米空軍三沢基地(青森県三沢市)付近まで延びています。中国山地には「ブラウンルート」、四国には「オレンジルート」が設定され、その西端の延長線上には米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)があります。
三沢、岩国両基地への6月28日以降のCV22の飛来は、防衛省も確認しています。いずれも短時間の滞在で離陸しており、横田基地と両基地間を往復しながら、低空飛行ルートで訓練を実施している可能性が出てきました。
なめるように飛行
レーダー網をかいくぐり特殊作戦部隊を敵地深く投入するのが任務のCV22と海兵隊MV22との最大の違いは、起伏の激しい山岳地帯でも地形をなめるように低空で高速飛行するための「地形追随レーダー」を搭載していることです。CV22の搭乗員の訓練について米空軍の訓令(2011年1月27日)には、操縦士の基本的な訓練として、山岳地帯での夜間低空飛行、地形追随飛行などが明記されています。
7月16日以降、毎週の訓練実施が通告されている陸上自衛隊東富士演習場(静岡県御殿場・裾野両市、小山町)でも、MV22と異なる訓練が監視活動で確認されています。
「オスプレイに反対する東富士住民の会」の渡邊希一事務局長は、CV22は離着陸だけではなく、超低空の飛行訓練を実施しているようだとして、こう指摘します。
「横田基地から10分もあれば、東富士演習場に到着するはずが、30分ぐらいかけて飛んできている。地形追随レーダーを使って訓練をしながら、箱根の山を越えてきているのではないか。日本各地がアメリカの戦争のための格好の訓練場にされている。なにかが起こってからでは遅い。ほんとうに危険な訓練はやめてほしい」