2018年8月20日(月)
「教育のつどい2018」分科会
生徒の困難に寄り添う
長野市で開かれていた「教育のつどい2018」は、最終日の19日も前日に引き続き分科会が行われました。
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思春期・青年期の進路と教育
「学びの場」どう保障
「思春期・青年期の進路と教育」の分科会では高校生を含めて約30人が参加し、貧困や外国籍、不登校など配慮・支援が必要な子どもたちへの対応をテーマに討論しました。
長野県の高校教師(53)は日本語を母語としない「外国由来の生徒」の指導について報告しました。▽日本語が理解できず授業についていけない▽奨学金の書類など配布される文書を保護者が理解できない―など実態を紹介。学校独自の取り組みには限界があるとして、教師や支援員の加配や待遇改善など教育条件の整備を求めました。
「学校が排除の場になっていないか」と切り出したのは、大阪府立高校の定時制課程教師(60)です。「高校中退を考える~定時制の現場から」と題して、困難を抱える生徒の就学をどう保障するのか報告。「非正規雇用が親の世代で増えている」と言い、貧困やネグレクト、DVなどを背景に、不登校や中退などが増加していると指摘しました。
対応の困難から生徒を排除するのでなく、スクールソーシャルワーカーの配置、外部NPOとの連携による「居場所カフェ」、自然の中でのキャンプなどのとりくみで劇的に中退率が減少したことを紹介。教師の少なさから、学校外の資源を活用する必要性を述べ、「生徒自身が外とつながって主権者、地域の一員として関わる経験も大切。その経験を積み上げていきたい」とまとめました。
障害児教育
就労支援の経験交流
障害児教育の制度・運動・権利保障について議論した分科会では、長野県の男性が、夜間定時制高校の統廃合によって再編された多部・単位制の普通学校で、特別支援教育コーディネーターとして発達障害などを抱える生徒への就労支援の取り組みを報告しました。
同校では、3分の2の生徒が不登校の経験や発達障害などの困難を抱えています。入学時から人間関係づくりの支援などに学校全体で取り組んでいることや、「高校では子どもたちが“社会に出て行く″ことが義務教育と大きく異なる支援になる」と述べ、教育支援担当だけでなく、就労担当者と並行支援していると語りました。
障害者手帳を3年次になって取得した発達障害を抱える生徒が、初めて障害者採用を行う企業に就職したものの数カ月で退職に至った経験を報告。就労までの学校でのサポート、本人の就労への認識、会社側との事前引き継ぎや対応などの課題に対して、事前に就労体験するなどの強化で、離職が減ってきていると語りました。
岡山県のろう学校の男性教師が、生徒の成長に合わせた就労への意欲形成の経験を報告。滋賀県の男性教師が、養護学校の大規模化のなかでも、生徒一人ひとりの成長発達のために、教師・学校全体で教育目標を決め、教育課程づくりの実践を報告しました。