2018年8月19日(日)
国に従順な「人材」育成
教育のつどい分科会 「道徳科」の狙い批判
|
「わかった」「できた」の喜びを共に味わう子どもが楽しく学べる授業実践、憲法に基づく平和教育や主権者教育をどうすすめる―。長野市内で開かれている「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2018」は18日、教科・課題別の28の分科会と二つの特設分科会で2日間の討論が始まりました。
特設分科会「『道徳教育』のあり方を考える」では、今年4月から小学校で教科書を使用した「道徳科」が全面実施になるもとで、教科書の問題点や教育実践を交流しました。
大東文化大の渡辺雅之准教授が基調報告。道徳は本来、異なる他者と共に生きる術(すべ)を学ぶものなのに、政府は「道徳科」で体制や権力に従順な国民をつくることを狙っていると指摘し、教材の読みかえや発展など、より良いものに変える実践や他の教員と連携した手をつなぐ実践が必要だと話しました。
報告した千葉県の小学校教師の女性(27)は、指導書通りにやれば楽だと思いながらも、答えを一つに限定する内容に疑問を持ち、いろんな答えが出るように発問を工夫した授業実践を紹介。「たくさんの意見がだされる、広がりのある話し合いの時間を大切にしたい」と語りました。
出版労連の吉田典裕さん(60)は「法の順守」を押し付け、基本的人権の尊重、労働者の権利などには触れない教科書の問題点を指摘しました。
討論では、「教材や指導への縛りが強くなっている」「市教委との交渉で教科書以外の教材を使っていいという回答を引き出した」などの意見が出されました。