2018年8月16日(木)
主張
教育のつどい
子に寄り添い現状変える力に
「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2018」(教育のつどい2018=同実行委員会主催)が17日から3日間、長野市内で開かれます。「憲法と子どもの権利条約がいきて輝く教育と社会を確立しよう」をテーマに全国の教職員、保護者、研究者、市民らが参加します。開会全体集会と七つのテーマごとの教育フォーラム、30の分科会が開かれ、三百数十のリポートに基づく討論などで学び合います。
型にはめる政策に抗して
いま学校では、安倍晋三政権のもとで、型にはめる教育がすすめられようとしています。筆入れを置く位置や中に入れる鉛筆の本数まで決める。「問題行動」をした子に対しては事情も聞かずに決められたペナルティーを科す。そんなマニュアル化した指導をすることが教師に強いられています。「教育のつどい」で発表される教職員、保護者らのリポートはその実態をリアルに示しています。
政府に都合のいい価値観を子どもに押し付ける「道徳の教科化」の実施や学力テストの点数アップを至上命令にした「学力向上」政策が教育をゆがめています。「優しい先生になりたい」というと「あまい」と批判され、「とにかく子どもにいうことをきかせろ」という雰囲気がまん延している学校が少なくないことも、各地のリポートからうかがえます。
同時に現状に悩み、苦闘しながらも、目の前の子どもたちに心から寄り添い、その成長のためにと奮闘する教師らの姿があります。
ある中学校教師は、「きちんとできない場合は『教室に入れない』」というルールがある学校で、子どもたちの抱えている背景を知りながら丁寧に接しよう、生徒にとって「話を聞いてくれる」存在、「学校のセーフティーネット」になろうと努力しています。
こうした教育実践を支えているのが教職員組合や民主的・自主的な教育研究団体、サークル、教育懇談会などでの交流と学習です。
採用4年目の小学校教師は、今年から始まった道徳の教科化で、「教科書を使って確実に年間35時間やるように」と強要される中、自主的に題材を考えて授業をしました。「組合員のベテランの先生」に相談する中でやってみようと思ったとリポートにつづっています。別の小学校教師も、昨年の「教育のつどい」や組合の学習会で道徳教育について学んだことを参考に、「子どもが本音で発言するように」などと授業を工夫しています。
「つどい」では、憲法に基づいた平和教育や主権者教育、子どもが楽しく学べる授業、人格まで統制しようとする新学習指導要領の問題、いじめや不登校にかかわる課題、「貧困と格差」の影響、教職員の長時間過密労働をなくすこと―などを多彩に議論します。
各地の取り組みを支える
安倍政権が教育への統制・支配を強めているのは、「戦争をする国」「大企業の利潤追求」のための「人材育成」を狙っているからです。「つどい」では、そうした「人材育成」の押し付けに抗して、保護者・地域・教職員の共同で、子どもが豊かに学び人間らしく育つ権利を保障する教育をと、語り合ってきました。その役割は大きなものがあります。今年も多くの人の参加で成功させ子どものための教育を前進させる力にしましょう。