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2018年7月26日(木)

豊洲新市場 専門家会議

公開の会議開かずに工事完了を「評価」へ

 東京都が10月11日に開場を予定している豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)の土壌汚染追加対策を助言している専門家会議(平田健正座長、3人)は、公開の会議を開かずに工事完了を「評価」しようとしていることが25日、本紙の取材で明らかになりました。


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(写真)傍聴者の質問に答えず、会合を打ち切って退室する専門家会議の平田健正座長ら(奥)=2017年6月11日、東京・築地市場

 都は、専門家会議の提言を受け、2017年10月以降、有害物質で高濃度汚染された新市場用地の追加汚染対策工事を実施しました。ところが、今年に入っても地下水からは環境基準の110~140倍のベンゼンが検出されています。

 専門家会議は都の追加対策工事が提言通り行われたのかを7月中にチェックする予定です。平田座長の意向を受け、専門家会議を非公開で開くことも検討しましたが、都の設置要綱が「会議は公開で行う」としていることから、会議の開催を断念したとみられます。

 本紙の取材に対し、中央卸売市場は「専門家の打ち合わせは7月20日に非公開で行い、引き続き確認中。専門家会議は開かずに、平田座長が評価を公表する見込みだ」としています。

 土壌汚染対策の欠陥を指摘してきた水谷和子さん(1級建築士)は「公開の会議を開かないのは、追加対策が破綻し、傍聴者の質問に回答できないことがいっぱいあるからだと思う」と語りました。


解説

追加対策で「食の安全・安心」守れない

10月開場は延期を

 東京ガス工場跡地は、環境基準の4万3000倍もの発がん物質・ベンゼンやシアンなど有害物質で高濃度汚染されていました。石原慎太郎知事時代に専門家会議の提言を受け、都は859億円を投じて土壌汚染対策を行いましたが、失敗に終わりました。

 今回、小池百合子知事が専門家会議を再招集したきっかけは、日本共産党都議団が16年9月に市場施設の地下は盛り土をせず地下空間をつくっていた事実を告発したことでした。

 専門家会議は16年10月から17年6月にかけてのべ7回開催、都に追加対策を提言しました。会合のたびに傍聴した市場関係者や専門家から厳しい質問が集中。17年5月18日の6回目会合で平田座長は「すべて環境基準にすることを目指していない。汚染は残る」と発言したことに抗議が殺到し途中で打ち切り。6月11日の続開会議で平田氏は、傍聴者の質問に答えないまま「提言」を強引に決定しました。

 効果が疑問視されている提言をもとに、都は17年10月以降、地下空間床面にコンクリートを敷設し換気、地下水の揚水井戸を増設する追加工事(計38億円)を発注。7月12日に終了しました。

 小池知事は同会議による確認を受け、「安全宣言」を発し、農水省に新市場の開設認可申請を行う構えです。

 専門家会議は石原都政時代に続いて、再び都民の目を欺き、「食の安全・安心」を無視して知事の豊洲新市場の「安全宣言」を誘導しようとしています。

 「追加対策では効果が望めない」と指摘する元日本環境学会会長の畑明郎氏は、「拙速に工事を評価することは問題だ。10月の開場計画は延期すべきだ」と批判します。(岡部裕三)


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