2018年7月23日(月)
身体拘束減らしたい
精神医療の今後考えるシンポ
精神科病院で身体拘束を受けている患者が10年前の2倍となる1万人を超え、相次ぐ死亡事故が社会問題となるなか、「精神医療のこれまでと今後を考える」をテーマに22日、東京都内でシンポジウムが開かれました。主催は「医療の良心を守る市民の会」。約90人が参加しました。
永井裕之代表があいさつし、3人が報告しました。精神科の桜ケ丘記念病院(東京都、467床)の岩下覚院長は「自院でも拘束は少しずつ増えている。6月の拘束例45人を見ると最長は797日」とし、「今後は減らしたいと、努力している」と語りました。
弁護士の三枝恵真さんは、入院から8日間身体拘束を受け、肺血栓塞栓症で死亡した女性の事例を通して、「精神保健福祉法で拘束が許されるのは、自殺企図または自傷行為が著しく切迫している場合など3要件の時だけだが、現状は原則と例外が逆転している」と批判。遺族は18日、病院側に損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。
女性の妹は、「病院には反省の意思も原因究明の姿勢も感じられない。身体拘束のあり方が見直され、患者の命と人権が守られることを心から願っている」と訴えました。
身体拘束問題にとりくんでいる杏林大学の長谷川利夫教授は、「今後、身体拘束実施過程の可視化(動画)が絶対に必要だ」と強調しました。
医療問題弁護団の木下正一郎事務局長が、身体拘束は原則違法とする「精神科医療における身体拘束に関する意見書」(18日発表)を紹介しました。