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2018年7月20日(金)

送還23歳難民自殺 差し止め判決無視

独内相に猛批判

強硬策誇示 辞任要求強く

 【ベルリン=伊藤寿庸】ドイツの連立与党内で、難民の国境での追い返しを主張してきたゼーホーファー内相が、難民の送還をめぐって厳しい批判にさらされています。


 ドイツ政府は今月初旬、難民認定を却下されたアフガニスタン人69人を送還しました。ところがその一人がカブールについてすぐに自殺。10代でドイツに渡り、8年間も暮らした23歳の青年でした。

 ゼーホーファー氏は、今回の大量送還を自らの対難民強硬策の成果として誇示。記者会見で、その日が自分の69歳の誕生日であることにかけて、同じ数の送還を行うなどと述べて、笑いを取ろうとしましたが、会見場は凍り付いたといいます。

 野党から、内相を辞任すべきだと非難される中、同氏は、自殺した難民を送還対象に決めたハンブルク市に責任を転嫁して、辞任を拒否しています。

 加えて問題となっているのは、チュニジア人でウサマ・ビンラディン(9・11事件の首謀者)の元護衛とされる人物の送還です。

 14日にチュニジアに送還されたこの人物は、2006年にドイツで難民申請を行いましたが却下。アフガニスタンでテロ組織「アルカイダ」の訓練に参加し、ビンラディンの護衛を務めたことなどが問題となりました。

 しかし送還については行政裁判所が審理中で、裁判所の差し止めの判決を無視した「違法」な送還でした。

 送還が急がれた背後に、ゼーホーファー氏の関与が取りざたされています。同氏は「送還については知らされていなかった」と釈明。しかし情報が上がっていたとの報道もあり、野党は「法治国家といえない」と内相の対応を猛批判しています。

 16日に民放テレビが発表した世論調査では、ゼーホーファー氏は内相を辞任すべきだとする回答が3分の2近くに上りました。

 18日発表の別の世論調査では、難民・移民政策をめぐり対立が激化した連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の支持率が、ひと月前の33%から30・5%に下落。逆に極右の「ドイツのための選択肢」(AfD)が13%から15%に上昇しました。

 ゼーホーファー氏は、10月に予定される地元バイエルン州で、自らが党首を務めるCSUの勝利のために、AfDと対難民強硬姿勢を競っています。結果的には、反移民の「本家」であるAfDの支持率が伸びる結果となっていて、政治的な行き詰まりに直面しています。


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