2018年7月12日(木)
不屈の歴史引き継ぎ、強く大きな党を
いま日本共産党綱領がおもしろい―激動の情勢のもとでの生命力
党創立96周年記念講演会 志位委員長が講演
日本共産党は11日、東京都中野区の「なかのZEROホール」で党創立96周年記念講演会を開きました。志位和夫委員長が「いま日本共産党綱領がおもしろい―激動の情勢のもとでの生命力」と題して講演。希望ある変化をはらむ内外の大激動の情勢のもとで日本共産党の綱領が大きな生命力を発揮していることを明らかにし、綱領実現のためにも強く大きな日本共産党をつくろうと呼びかけました。緒方靖夫副委員長が司会を務め、総がかり行動実行委員会共同代表の高田健さん、「市民連合」呼びかけ人の中野晃一さんがあいさつし、熱い連帯のエールを送りました。会場の大ホールはいっぱいになり、全国1061カ所の会場でネット中継が視聴されました。
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豪雨災害―被災者の苦しみに寄り添ってあらゆる支援を
志位委員長は冒頭、西日本豪雨災害での犠牲者への哀悼と被災者へのお見舞いを述べるとともに、政府に対し6野党・会派党首がそろって災害対応を国政の最優先課題にすえて全力で取り組むことを申し入れたことを報告。「救命・援助、猛暑のもとでの健康面のサポートはもとより、被災者の苦しみに寄り添って可能なあらゆる支援を行うことを重ねて政府に強く求めます。党としても被災者支援のボランティアと救援募金を始めました。党をあげて全力で取り組みます。ご協力を心からお願いします」と呼びかけました。
そのうえで、改定案発表から今年で丸15年を迎えた日本共産党綱領(2003年6月の7中総で改定案発表)の生命力を四つの角度から語りました。
自民党政治を根本から変える日本改革の羅針盤
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第一は、日本共産党綱領が、自民党政治を根本から変える日本改革の羅針盤となっていることです。
党綱領が明らかにしている「異常なアメリカ言いなり」「ルールなき資本主義」という日本社会の「二つの歪(ゆが)み」は、自民党政治によって行き詰まりの極みにきています。
志位氏は、「異常なアメリカ言いなり」の象徴として沖縄に目を向け、昨年12月に米軍ヘリの窓枠落下事故が起こった普天間第二小学校(宜野湾市)で事故後、米軍機が学校上空に接近するたびに沖縄防衛局の監視員の指示で児童が校庭から校舎に走って避難する異常な事態が続き、多い時は1日29回も避難が及ぶなど「まるで戦時下の空襲警報。体育の授業中に避難する学校などあってはならない」と怒りの告発。「政府は、子どもたちに避難指示を出すのでなく、米軍に飛行中止を求めるべきです」と訴えました。
米軍基地問題は日本という国のあり方を問うものとなっています。志位氏は、独裁政権打倒後に制定した新憲法に基づきアジア最大級の米軍基地を撤去したフィリピンの歴史的教訓にふれ、「独立した主権国家ならばこれが当たり前の姿勢ではないか」と問い、日本国憲法にしたがって基地のない沖縄、基地のない日本をめざす政治の決断こそいま求められていると訴えました。
「ルールなき資本主義」という歪みでは、繰り返された労働法制の規制緩和で労働者の命と健康は危機にさらされ、企業も、経済も、社会も立ち行かなくなる瀬戸際に立たされています。志位氏は、「使い捨て」労働を主導してきた財界の当事者から“間違いだった”と政策の破たんを自認する発言が出ていることを紹介するとともに、“間違っている”という自覚なしに暴走している安倍政権の異常ぶりを指摘。「『二つの歪み』を根本からただす党綱領の呼びかけが日本を救う道であることが日々浮き彫りになりつつあります。日本共産党が、どんなに複雑な情勢が起こっても、ブレずに国民の立場に立って頑張り抜くことができるのは、綱領という未来をてらす確かな羅針盤をもっているからです」と強調しました。
市民と野党の共闘に取り組む確かな土台
第二は、日本共産党が、市民と野党の共闘に取り組む確かな土台となっているのが綱領だということです。
志位氏は、全国32の1人区すべてで野党統一候補が実現し11選挙区で勝利した16年参院選、共闘が突然の逆流に見舞われながらも共闘勢力が大きく議席を増やした17年総選挙での「共闘効果」や、安倍政権をぎりぎりまで追い詰めている画期的な野党の国会共闘の発展をあげ、「共闘にこそ政治を変える唯一の活路がある」と強調しました。
そして開始された共闘の前進・発展に向け、(1)憲法違反の安保法制=戦争法の廃止、立憲主義回復を市民と野党の共闘の「一丁目一番地」として土台にすえる(2)来年の参院選で全国32の1人区のすべてで、今度こそお互いに全力で支援しあう「本気の共闘」を実現する(3)国民の切実な願いにこたえ、直面するたたかいの一つひとつに結束して取り組む―との3点を強調。社会発展のあらゆる段階で、思想・信条の違いを超えた統一戦線=共同の力で社会を変革することを大戦略にしている党綱領を指針に、市民と手を携え新しい日本を築くためあらゆる知恵と力を尽くす決意を表明しました。
21世紀の世界をとらえ、平和外交を進める確かな指針
第三は、日本共産党が、21世紀の世界をとらえ、独自の平和外交を進めるうえで、確かな指針となっているのが綱領だということです。
このなかで志位氏は、南北、米朝両首脳会談と、それによって開始された平和のプロセスの歴史的意義とともに、情勢の節々で「対話による平和解決」を関係各国へ要請してきた日本共産党の働きかけがそのプロセスへの一つの貢献になっていることを強調しました。
この平和のプロセスが成功をおさめたら、世界史を前に進める一大転換点になり、安倍政権が北朝鮮の「脅威」を最大の口実にして進めてきた「戦争する国づくり」の企ての「根拠」が失われること、さらに平和のプロセスがある程度進展すれば、日本共産党が提唱している「北東アジア平和協力構想」実現の現実的可能性が生まれること、党綱領で日本改革の大目標としている日米安保条約解消の大展望が切り開かれることを示しました。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、画期的な外交的イニシアチブを発揮できたのはなぜか。志位氏は、文政権を生み出したのは前政権の国政私物化と政治腐敗を許さない民衆の怒りが噴出した「キャンドル革命」だったが、ここには「平和に対する希望、渇望が深く流れていた」という韓国の李洙勲(イ・スフン)駐日大使の発言を紹介。日本の平和勢力と日本共産党のたたかいもこの変化に貢献していることを強調しました。
さらに大きな視点でみると、この変化には党綱領で明らかにしている20世紀に起こった世界の構造変化―植民地支配が崩壊し、100を超える国ぐにが独立をかちとって主権国家となったことがあります。志位氏は、綱領改定のさいに帝国主義論も発展させ、いまの世界で唯一帝国主義といえる米国の動向も「複眼」でとらえ、外交交渉によって問題を解決する前向きの動きに対してはそれを促進する立場で働きかける対応をとってきたことを語りました。
資本主義を乗り越えた未来社会の壮大な展望
第四は、党綱領は、資本主義の枠内での民主的改革のプログラムを示しているだけでなく、資本主義を乗り越えた未来社会―社会主義・共産主義社会の壮大な展望を示していることです。
志位氏は、生誕200年になる今年、世界各国で「革命家としてのマルクス」への注目が広がっていることをマルクスを特集した海外紙を掲げて紹介。その背景に、グローバル資本主義の暴走のもとでヨーロッパとアメリカで、格差・貧困の是正と平和を求める新しい市民運動の発展、それと結びついた社会変革をめざす新たな政治潮流の発展があることを語りました。
志位氏は、マルクスの未来社会論の一番の魅力ある核心―「人間の自由で全面的な発展」に光をあて、大胆によみがえらせたのが日本共産党綱領の未来社会論だと強調。
志位氏は、この未来社会の問題は、決して遠い話ではなく、「ブラック企業」や長時間過密労働をなくすたたかいのすべてが未来社会を準備し、未来社会の「形成要素」となる人類史的意義をもつたたかいであることを語りました。「日本共産党という党名には、私たちが理想とする未来社会の展望が刻まれています。未来社会の展望をもつ党だからこそ、目の前で解決が迫られているどんな問題でも、より大きな視野と展望のなかに位置づけ、確固とした立場でたたかえます」と訴えました。
強く大きな日本共産党をつくろう
最後に志位氏は、綱領で明記したどんな内容も、それが統一戦線―市民と野党の共闘の課題となり、国民多数の支持と共感をえて、初めて現実のものとなると強調。強く大きな日本共産党を建設することこそ、統一戦線を発展させ、綱領を実現する最大の力だとして心から入党を呼びかけました。
そして、「96年の歴史をしっかり引き継ぎ、強く大きな党をつくり、開始された統一戦線―市民と野党の共闘をさらに大きく発展させ、安倍政権を打倒し、野党連合政権に挑戦しようではありませんか。当面する最大のたたかいである来年の参院選と統一地方選での日本共産党の躍進を必ずかちとろうではありませんか」と呼びかけると、満場の拍手がわきおこりました。