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2018年7月5日(木)

大飯差し止め覆す

高裁金沢支部 安全放棄の不当判決

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に対する運転差し止め訴訟の控訴審で4日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)は、東京電力福島第1原発事故を教訓に運転差し止めを命じた一審判決(福井地裁)を覆す不当判決を言い渡しました。

 判決では、過酷事故に至らない限界を超える地震動が襲う可能性を否定せず、これを政策的選択に委ね、「(原発の)危険性は社会通念上無視しうる程度にまで管理・統制されている」などと安全軽視の考え方を示しました。また、原発を廃止・禁止するか「当否をめぐる判断は、もはや司法の役割を超え」ているとして自らの役割を放棄する態度まで示しました。新規制基準を「最新の科学的・専門技術的知見を反映して制定されたもの」とし、原子力規制委員会の審査も無批判に認めました。

 同控訴審では、原発の耐震設計の要をなす「基準地震動」について、元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦・東京大学名誉教授が「過小評価されている」と証言。同原発の基準地震動を導くには適切でない計算式を使ったことが明らかになりました。地盤調査でも、関電は震源の深さを最大で15キロと想定しながら、地下1・5キロまでの一部に調査をとどめるなど恣意(しい)的な評価も判明しました。

 2012年11月に始まった同訴訟は、14年5月、住民側が一審勝利し、続く同控訴審は昨年11月に結審。住民側は結審後、原子力規制庁が関電の火山灰想定を覆す見解を示したことも指摘して弁論再開を求めていました。


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