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日本共産党

2018年6月30日(土)

「子ども産まない選択」侵害 二階氏発言撤回を

“市民は道具”国家観

 自民党の二階俊博幹事長が26日都内の講演で「子どもを産まない方が幸せ、と勝手に考えている人がいる」とのべたことに批判が広がっています。また「今晩、飯を炊くのにお米が用意できない、という家は日本中にはない。だからこんな素晴らしいというか幸せな国はない」という発言とともに、二階氏はいまだ問題発言を撤回していません。

 (内藤真己子)

 「結婚や出産を自ら選択し女性が自由に生きる権利は、個人の尊厳や幸福追求権をうたった憲法13条、婚姻における両性の平等を定めた24条で保障されています。二階氏の発言は女性の人権を著しく侵害しています」。こう指摘するのは、同志社大学の岡野八代教授です。

 「現行憲法のこれらの条文は明治憲法のもと女性が家制度に縛られ自由に結婚できず、“産めよ増やせよ”と国家のために生きることを強いられた反省の上に成り立っています。戦後70年以上たってなおこうした発言が相次ぐのは、自民党の政治家が女性の自由な生き方を認めたくないことの表れです」と岡野さん。

相次ぐ問題発言

 安倍首相は27日の党首討論で同発言への認識を問われ「産むか産まないかの選択は本人の選択に委ねられている」としつつも、二階発言については「いちいち私がコメントすることは適当ではない」と事実上容認しました。女性の人権を侵害する同様の発言は自民党幹部や議員から続出しています(別項)。

 問題発言が相次ぐ背景には何があるのでしょうか。岡野さんは「“子どもをたくさん産んで国も栄えていく方向に”という発想は、安倍政権がすすめようとしている改憲と密接に結びついています」と語ります。「現行憲法は私たちが幸せに自由に生きるために国家の役割があるとされます。安倍政権が狙う憲法改正は、それを逆転させて国の繁栄のために市民を道具として使おうとするものです。子どもを産んで育てるのは自己責任としながら、育て上げた子どもは国のために働けと言っています。こうした国家観が一連の発言の根底にある。これは女性の問題ではなく市民全体に関わる問題です」

現状を見てない

 また二階氏の「今晩のお米が用意できない家はない」発言はどうでしょうか。

 「二階氏は、危機的な貧困の現状についての事実認識が根本的に間違っている」。こう憤るのは生活保護問題対策全国会議事務局長の小久保哲郎弁護士です。

 「大阪の弁護士会で生活困窮者の法律相談をしています。『明日、食べるものがない』と社会福祉協議会などの食料支援を受ける人も少なくありません。シングルマザーに食料支援をしているNPOでも“支援を受けるまではお米を食べられないときがあった”というママもいます」と語ります。

 子どもの7人に1人は貧困状態におかれています。先進諸国で最悪の水準です。生活保護基準以下で暮らす人のうち実際に保護を利用している人の割合(捕捉率)は2割程度しかありません。

 安倍政権は生活保護バッシングで利用できにくい状況を作っておきながら保護を利用していない低所得層の消費水準と比べ、10月からさらに保護基準を引き下げようとしています。小久保氏は「望む人が安心して結婚し子どもを持てる社会をつくることは政治の責任です。そのためにもまず生活保護基準の引き下げはやめ、要件を満たす人はみな生活保護が利用できるようにするべきだ」と訴えます。

出産・育児に関する自民党政治家の暴言

 5月10日 自民党の加藤寛治衆院議員が、結婚披露宴に出席した際は「必ず3人以上の子どもを産み育てていただきたい」と呼びかけていると語る。

 5月27日 自民党の萩生田光一幹事長代行が0~2歳の乳幼児の子育てに関して、「『男も育児だ』とか言っていても子どもにとっては迷惑な話。(0~2歳は)ママがいいに決まっている」とのべる。


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