しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月16日(土)

受動喫煙対策が不十分

衆院厚労委 健康増進法改定案が可決

全参考人、不備を指摘

 衆院厚生労働委員会は15日、多くの人が利用する施設を原則禁煙とするなど受動喫煙対策を強化する政府提出の健康増進法改定案を賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党、日本維新の会は対策が不十分だと反対しました。


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(写真)質問する高橋千鶴子議員=13日、衆院厚労委

共産党など反対

 同日行われた参考人質疑では、5人の参考人全員が不十分との考えを示しました。

 全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は、政府案の不足点として、▽既存の100平方メートル以下の飲食店を例外にする▽学校、病院などの敷地内に喫煙所を設置できる―を指摘。「早期に見直してほしい」と求めました。

 日本肺がん患者連絡会の長谷川一男理事長は「政府案に強く反対する」と明言。父親の喫煙の影響で肺がんを患った体験を語り「受動喫煙の被害者の声が上がらないことで、重さが軽く考えられているとしたらやりきれない」と訴えました。

 名古屋市立大の大手信之教授は例外規定の100平方メートル以下を「かなり広い」として狭めるよう要求。全国保健所長会の山中朋子会長は、既存飲食店の対策とともに指導監督など保健所職員の事務が増えるため「現在の体制では対応が厳しい」と技術・財政支援を求めました。東北大の黒沢一教授は、喫煙場所の設置は禁煙の機会を失うとして完全禁煙を主張しました。

 法案では、煙を出さない加熱式たばこは専用喫煙室をつくれば中で飲食等もできるとされています。日本共産党の高橋千鶴子議員は同日の質疑で、パチンコ店では加熱式たばこ専用室でパチンコができるのかと質問。加藤勝信厚労相は「専用室では飲食や本を読むことができる。一定の空間を認めていく基本的な考え方を適用する」と述べ、パチンコも排除しない考えを示しました。高橋氏は、長く多くパチンコをするほど喫煙率が高いとの調査も示し、業界の要求に応じて規制緩和してきたと批判しました。

 高橋氏は13日にも質問。WHOの「たばこ規制枠組条約第8条履行のためのガイドライン」では「受動喫煙の被害をなくすには完全禁煙以外の方法はなく」と書いており、日本も批准していることから「経営事情というが、全面禁煙にすれば1円もかからない」と指摘しました。さらに喫煙専用室や屋外の喫煙所について追及。労働安全衛生法に基づく喫煙施設も結局は換気扇などで煙を空気中に放出しているにすぎず、対策を取ったとは言えないと批判しました。

 高橋氏は、ニコチン含有量など紙巻きたばことほぼ変わらない加熱式たばこを禁煙へのステップと勧める風潮があると指摘。加藤勝信厚労相は、禁煙に有効か相反する研究があるとして「(厚労省が)推奨する状況には当然ない」と答えました。


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