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2018年6月6日(水)

昭恵氏らの名 なぜ隠す

森友改ざん 財務省報告書“核心部分”避ける

身内の調査でなく喚問を

 学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる決裁文書の改ざんと交渉記録を廃棄した問題で、財務省が公表した報告書は、疑惑を解明するどころか、核心を覆い隠すものでした。ここまできて財務省は何を隠そうとしているのか―。(三浦誠)


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(写真)財務省が公表した森友改ざん問題の報告書。菅官房長官に昭恵氏が関係する記録を問題ないと報告してたことがかかれています

 報告書によると改ざん、廃棄の発端は、安倍晋三首相の「私や妻が関係したということになれば、総理も国会議員もやめる」(昨年2月17日、衆院予算委)という答弁でした。

 この答弁をうけ財務省は、安倍首相の妻昭恵氏付の政府職員・谷査恵子氏が理財局に問い合わせした記録を確認。しかし菅義偉官房長官には、「特段問題となるものではない」と報告したとしています。

 「問題ない」なら、なぜ昭恵氏の名前を隠したのか―。財務省は、当事者である昭恵氏や谷氏から事情を聴取していません。安倍首相夫妻の関与が取りざたされている疑惑なのに、“核心部分”をさけてとおった形です。

 国有地を約8・2億円値引きして売却した疑惑についても、財務省は調査の対象外としました。

 改ざんされたのは、国有地売却をめぐる決裁文書です。改ざんでは、「特例的内容」などの言葉が削除されていました。特例を承認した財務省の決裁文書には、昭恵氏の名前が5回も出てきます。

 特別扱いを隠すために改ざんした疑いがあり、これを調査の対象外としたこと自体が“隠ぺい工作”といえます。

 麻生太郎財務相の責任についても、報告書は「一切報告」を受けていなかったと不問にしています。

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(写真)決裁文書を改ざん、交渉記録廃棄の舞台になった財務省

 昨年2月の疑惑発覚後、野党議員の質問に、麻生氏は「記録は残っていない」「面会記録が残っていないことに何の問題があるのか」と繰り返してきました。

 パソコンから削除した記録を復元するよう迫られても、麻生氏は「復元することはできないと聞いている。(復元の)対応をとることは考えていない」と答弁。しかし、今回の調査では「コンピューターから、可能な限りの電子ファイルの復元作業」をしています。

 仮に麻生氏が改ざん、廃棄の報告を受けていなくとも、野党の指摘をまじめに受け止めて調査していれば、1年以上前に改ざん、廃棄の事実をつきとめることは可能でした。

 麻生氏が責任者で、財務省関係者だけによる調査の限界を示した形です。真相解明には野党が求めるように、昭恵氏や佐川宣寿前国税庁長官らの証人喚問が必要です。


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