2018年5月30日(水)
「働き方」法案で研究開発業務
際限ない長時間労働に
高プロ対象・上限規制は除外
研究開発業務の労働者は、「働き方改革」一括法案によってどの制度が適用されても際限ない長時間労働から逃げられません。労働者の健康も守れず、企業の「競争力」も確保できません。
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政府は国会答弁で、研究開発業務が高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)の対象にあげており、1日24時間、休みもなく48日間連続で働かせても合法です。
現行の専門業務型裁量労働制になっても、「みなし労働時間」だけしか働いたことにならないため、“定額働かせ放題”です。
法案では単月100時間、平均80時間の過労死ライン容認の「上限規制」をつくりますが、研究開発業務は適用除外とされ、青天井で働かせ続けられる抜け穴をつくりました。
どの制度になっても長時間労働を強いられるのは必至です。
研究開発業務の残業は、労働時間データの再集計で大臣告示(月45時間、年360時間)を超える事業所が、3割から5割に増えました。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は「長時間労働の業務を、残業代がない、時間規制がない高プロに入れていいのか」(25日)と批判しました。
大企業で健康破壊続発
残業月100時間超も
大企業の研究開発業務では、長時間労働で過労死やその寸前まで健康を破壊される労働者が相次いでいます。
【東芝】
東芝で2001年、埼玉県内の工場でプロジェクトリーダーとなった女性が、長時間過重労働で休職。04年に休職期間満了を理由に解雇されました。
女性には一般の労働時間規制が適用され、月100時間以上の残業が5カ月継続。プロジェクトの人員が削減され、同時期に同僚2人が自殺しています。
女性は11年2月の東京高裁判決で解雇無効が確定。16年9月の東京高裁判決で会社に損害賠償など6000万円以上の支払いが命じられました。
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【ソニー】
ソニー仙台テクノロジーセンターで専門業務型裁量労働制の男性労働者の残業が14年、7カ月で平均月65時間、最長94時間となり体調を壊しました。
作業スケジュールは研究開発の進行で決まり、「裁量」の余地はなし。業務量削減を求めましたが、「仕事をほうり投げた」などとして成果主義の評価を下げられました。
ソニー労働組合仙台支部(電機連合加盟)が裁量労働制の運用に問題があると告発し、仙台労働基準監督署が会社に指導しました。
【三菱電機】
三菱電機の情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)で、研究職の30代男性が14年、月100時間を超える残業をさせられ、うつ病となり、16年6月に解雇されました。
藤沢労働基準監督署は16年11月、労災認定し、17年1月、三六協定の上限を超える残業をさせた疑いで、同社を書類送検しました。男性は、上司から残業時間を過少申告するよう指示され、パワハラも受けていました。