しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月25日(金)

高鳥衆院厚労委員長解任決議案

高橋議員の賛成討論(要旨)

 日本共産党の高橋千鶴子議員が24日の衆院本会議で行った高鳥修一衆院厚生労働委員長解任決議案への賛成討論(要旨)は次の通りです。


 高鳥委員長はこの間、働き方改革法案の今国会成立のためだけに職権を乱用し暴走してきました。まさに「首相案件」だからです。委員会を10回も職権で開催し、17時間23分は空回しでした。重要広範議案の生活困窮者支援法案では、与党のみで参考人質疑、採決まで行ったのです。

 今は国会全体の異常事態です。森友・加計疑惑、日報、どれ一つとっても国権の最高機関で平気でうそをつくなど、国の土台そのものが崩れています。何より厚労省こそ年金記録の再委託問題、裁量労働制データねつ造、野村不動産の過労死隠しなどの原因者です。

 まず、裁量労働制のデータねつ造問題は解決していません。企画業務型裁量労働制の拡大部分は法案から削除され、元となった2013年度労働時間等総合実態調査の2割のデータを削除しました。旧データを加工した資料は労政審だけでも11回活用されています。例えば労使協定で年間の残業を1000時間超としている事業場のうち、実際に1000時間超の残業があったのは旧データで3・9%だったのに、精査で48・5%へと激増。法案の骨格をなす根拠資料を影響ないとしてよいはずがありません。

 裁量労働制の実態調査を新たに行うといいますが、労政審に諮る時期すら示せませんでした。「高度プロフェッショナル制度」の対象労働者を検討するうえで実態調査は必須です。データねつ造で、厚労省は外部有識者を含む監察チームを発足させましたが、その中間報告さえ出せない状況です。法案は撤回し、労政審に差し戻すべきです。

 「働き方改革」法案で、総理は「過労死をなくします」「同一労働同一賃金を実現します」と何度も強調しました。特別条項付き三六協定を結べば実質青天井になっていた残業時間に、罰則付きの上限規制を設けるという70年ぶりの大改正のはずでしたが、出されたのは、厚労省自身が過労死ラインと認めてきた単月100時間、連続する複数月平均で80時間を上限とし、国が過労死にお墨付きを与えるものです。労働時間法制から完全に除外する「高度プロ」制度は、年104日の休日さえ与えれば、連続48日間勤務、しかもそれを1日24時間ぶっ通しで働いても違法とならない、過労死促進法です。

 「同一労働同一賃金」で、いわゆる均等待遇の対象となるパート労働者はわずか1・5%にすぎず、格差を固定化するだけです。

 大切な家族を失った苦しみを二度と誰にも味わわせたくないと訴えてきた過労死家族の会のみなさんが、過労死防止に逆行する「高度プロ」「働き方改革」法案に反対だと明確に表明しています。家族の声、働く人々の声に耳を貸さず一方的な運営で採決に踏み切ろうとする高鳥委員長には、その職責を果たす資格がありません。


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