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2018年5月25日(金)

主張

「森友」文書提出

安倍首相の責任は逃れられぬ

 「加計」問題でこれまでの安倍晋三首相の国会答弁を覆す学園理事長との面談が愛媛県の文書で明らかになったのに続いて、「森友」問題で首相や妻の昭恵氏の関与を浮き彫りにする文書が国会に提出されました。だれが何のために文書を改ざんしたり、交渉記録を隠したりしたのかの調査報告はこれからですが、長期間にわたって自らや妻の関与を否定し、国会と国民をだましてきた首相の責任は重大です。昭恵氏や、改ざんと隠ぺいへの関与が濃厚な佐川宣寿前理財局長らの証人喚問を含め、問題を徹底解明し、首相の責任を明確にすべきです。

首相夫妻の関与浮き彫り

 大阪の学校法人、森友学園への国有地格安払い下げに関わる改ざんされる前の公文書の国会提出は、改ざんが明らかになった14文書のうち13文書が未提出で、当初4月中に提出のはずが延び延びになってきたものです。改ざん前文書と佐川氏が廃棄したと主張した交渉記録など4000ページ近くの膨大な文書が、自衛隊イラク派兵関係の「日報」隠ぺいの報告書と合わせ、「働き方」法案などの採決のヤマ場と同じ日に出されたのは、悪法推進を狙ったこそくな目くらましというほかありません。

 新たに財務省が提出した改ざん前文書と職員が「手控え」の形で残していたという交渉記録などは、「森友」への国有地の異例な貸し付けや売却、値引きなどがまさに首相や昭恵氏が関わって行われたことを浮き彫りにしています。

 交渉記録のうち、2015年7月31日の籠池泰典「森友」理事長(当時)らの近畿財務局統括国有財産管理官との応接記録には、妻の諄子副園長が「小学校開設に関しては、阿部首相、阿部首相夫人、自民党幹部も認識している(ママ)」と記録されています。同年11月10日の記録には、当時、昭恵氏付政府職員の谷査恵子氏から財務省理財局の国有財産業務課に「安倍総理夫人の知り合いの方」から昭恵氏に借地契約について照会があったので「当方からお問い合わせさせていただいた」との連絡があり、翌々日の12日には田村嘉啓国有財産審理室長が、昭恵氏の「森友」小学校の「名誉顧問」(名誉校長)就任を前提に国有地の貸し付け・売り払いについては、「最大限の配慮をして対応している」などと答えています。

 近畿財務局が本省と相談した「本省相談メモ」も一部公表されました。14年5月8日付のメモには同年4月25日、理事長らが昭恵氏を建設予定地に案内した際、「いい土地ですから、前に進めてください」と言われたことが、改めて明記されています。

「行政府の長」として

 国有地の売却に関わる公文書の改ざんや「交渉記録は廃棄した」と国会を欺き続けてきた責任を、財務省や理財局に押し付けることは許されません。首相は自らや妻の疑惑に加え、「行政府の長」としての責任が問われます。

 首相は「加計」問題でも愛媛県文書を認めませんが、それなら具体的な根拠を示すべきです。

 財務省は改ざんや交渉記録廃棄は昨年2月以降と説明します。首相が「私や妻が関係していれば首相や国会議員もやめる」と同年2月17日国会で答弁したことが、改ざんや隠ぺいのきっかけでなかったのか。徹底究明が不可欠です。


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