2018年5月24日(木)
きょうの潮流
誠実さと信念だけが人間を価値あるものにする―。ドイツの詩人ゲーテの格言といわれる一つです。人としてのありようや、生き方を深く考えさせられます▼「誠実」を広辞苑で引くと「他人や仕事にたいして、まじめで真心がこもっていること」。賢人の言葉を借りるまでもなく、私たちは日常のなかで誠実さを問われます。誰もがそれを失ったら、社会が成り立たなくなるからです▼机に積み上げられた大量の文書。8億円値引きで国有地を売却した森友学園との交渉記録と、改ざん前の決裁文書を財務省が国会に提出しました。これまで「廃棄した」とくり返し答弁してきた記録。つじつま合わせのために隠ぺいしたことも認めました▼防衛省は陸上自衛隊のイラク日報隠しの調査結果を公表。組織的な隠ぺいではなかったとしましたが、戦争法とのかかわりで現地の「戦闘の危険」を覆い隠した責任は重い。これまでの政府の説明が虚偽だったことも明らかに▼官僚を巻き込んでいく安倍政権の不誠実さ。うそやごまかしのトリクルダウンは行政の枠をこえて、この国の社会をむしばんでいます。一方で、それを許さない市民と野党のたたかいが無きことにされようとした事実を掘り起こしています▼政府は昨年の秘密文書を38万件とする国会報告を決めました。前年比6万の増。思うがままに権力をふるう政権を追い込むのは誠実をもとめる人びとです。ゲーテの格言を、もう一つ。「すべての人間らしいあやまちを清い人間性がつぐなう」