2018年5月21日(月)
きょうの潮流
1泊2日の「福島県浜通りバスツアー」に参加しました。初日の案内役は伊東達也さん、元の生活を返せ原発事故被害いわき市民訴訟の原告団長です▼桜並木で有名な富岡町夜の森。同じ地区にある第二中学校の体育館をガラス越しに見ました。壇上には「祝第64回卒業証書授与式」の文字や校旗。原発事故で一時避難した住民の置いた石油ストーブ、防寒着も7年前のままです▼出発点のいわき市で放射線測定器の数値をみると、「東京都内で測っている数値と同じくらい」と伊東さん。しかし、福島というだけでさまざまな偏見や差別が。「福島に寄り添うとは、県民が悩み苦しんでいる現状を知ってもらうことです」▼双葉と大熊の両町に立地する第1原発に近づくにつれて様相は一変。直線道路の片側に「帰還困難区域」の表示が延々とつづきます。黄色いロープの先にはしゃれた一軒家と庭。しかし、住んでいた人が立ち入ることはできません。人の営みが消えたまま…▼2日目の案内役は、農民連役員で地元NPOの代表理事を務める三浦広志さん。仲間たちと、津波や原発事故で被害を受けた土地に太陽光発電施設を設け、その収益を農業の復興に活用しています。「田んぼの再生のためにも農民に元気になってもらいたい」。原発に依存しない地域の再生をめざします▼それでも、炉心溶融した原発の後始末と廃炉を完全にやらないかぎり、「福島県民に本当の安心はありません」と三浦さん。国と東電の責任の重さを改めて感じます。