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2018年5月17日(木)

原発固執 30年先も

政府審議会 エネ計画案了承

30年度原子力20~22%

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(写真)エネルギー基本計画案の2030年エネルギーミックスの原発目標に含まれることになる建設中の電源開発・大間原発=青森県大間町

 経済産業省の審議会は16日、2030年度の電源構成比率を原子力20~22%、再生可能エネルギー22~24%などと定めた政府目標の実現に全力を挙げると明記した「第5次エネルギー基本計画」案をおおむね了承しました。50年に向けた戦略も新たに加え、原発を「脱炭素化の選択肢」と位置づけ、30年以上先も原発に固執する内容です。

 経産省は、近く30日間の意見公募にかけ、今夏閣議決定を目指すとしています。

 計画案は、30年度の電源構成比率の「確実な実現へ全力を挙げる」と強調しています。

 前回計画(14年)で、原発依存度について「可能な限り低減させる」としながら、「重要なベースロード電源」とした矛盾した表現は今回も踏襲。さらに、「原子力政策の再構築」として「原子力の産業基盤の維持・強化」などを明記しています。

 50年に向けた戦略では、あらゆる選択肢の可能性を追求するとして、原子力も「実用段階にある脱炭素化の選択肢」と位置づけた上で、「安全性、経済性、機動性に優れた炉の追求」などの方針を掲げています。

 一方、再生可能エネルギーは、30年までに「主力電源化への布石を打つ」とし、太陽光発電、風力発電のコスト削減を目指すことなどを掲げています。

国民多数の願いは「ゼロ」

 国の中期的なエネルギー政策の方向性を示す「第5次エネルギー基本計画」案がまとめられました。今後、1カ月の意見公募を経た上で、政府は今夏に閣議決定します。計画案は、原発ゼロを求める国民多数の願いからかけ離れた原発推進路線に固執したものです。

 安倍政権下で2回目の計画。しかし、今回は、原子力や石炭を「重要なベースロード電源」と位置づけた2014年計画の「骨格を変えない」前提で議論されました。議論する審議会委員の顔ぶれも原発維持・推進派が多数。原発の新増設やリプレース(敷地内の建て替え)を主張する委員が少なくなく、経済的にも安上がりでないことが内外で明らかになった原発のコストなどの検証もありませんでした。

 今回の計画案は「2030年のエネルギーミックスの確実な実現に全力を挙げる」と明記しました。30年のエネルギーミックスとは、政府が15年に決めた「長期エネルギー需給見通し」のこと。30年度の電源構成の目標を原子力20~22%、石炭26%、再生可能エネルギー22~24%としたものです。これは原発30基台に当たり、再稼働や、最大60年の運転延長などをしゃにむに推進する数字です。再稼働反対の国民世論などを考えても「非現実的だ」と指摘されています。

 しかも計画案では、「原子力政策の再構築」と題した項目で、「原子力人材・技術・産業基盤の維持・強化」「再稼働や廃炉等を通じた現場力の維持・強化が必要」と明記。一方に併記した「原発依存度は、可能な限り低減させる」のまやかしは明らかです。原発輸出も世界への貢献などとしています。

 さらに、計画に新たに加えた、30年以上先の50年に向けたエネルギー戦略にも、原発を「脱炭素化の選択肢」として維持する方向を示し、「安全性・経済性・機動性に優れた炉の追求」などと、新増設のねらいを含んだものです。福島原発事故の教訓を踏まえ、これ以上の原発固執をやめて、原発ゼロの方向でエネルギー政策を転換すべきです。(「原発」取材班)

エネルギー基本計画案の骨子

 ●2030年の電源構成を原発20~22%、石炭26%、再生可能エネルギー22~24%とする政府方針の確実な実現に全力を挙げる

 ●原発は重要なベースロード電源。技術・人材・産業の基盤の維持・強化/核燃料サイクル政策の推進

 ●50年に向け、原発を「実用段階にある脱炭素化の選択肢」と位置づける/安全性、経済性、機動性に優れた炉の追求

 ●再生可能エネルギーは主力電源化へ向け、さらなるコスト削減

 ●再エネは50年に向け、経済的に自立した主力電源化を目指す

 ●石炭は重要なベースロード電源/高効率化を前提に活用


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