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2018年5月16日(水)

オスプレイ豪沖墜落原因

2年前と同じ「吹き下ろし」還流

米海兵隊報告書

 米海兵隊は15日までに、昨年8月5日にオーストラリア沖の訓練区域で揚陸艦への着艦に失敗して墜落した普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のMV22オスプレイの事故最終報告書を公表しました。報告書は、2015年12月に揚陸艦への着艦に失敗したオスプレイの事故と同じ原因との分析を示しました。

 報告書は3月21日付で最終的に承認され、公表されているだけで1700ページを超えます。それによれば、事故機は強襲揚陸艦ボノム・リシャールを離陸後、ドック型揚陸艦グリーンベイの甲板に着艦を試みたところ、艦の手前で高度が急速に低下。右舷に衝突して海中に墜落し、3人が死亡しました。

 報告書は、15年12月9日に米西海岸沖で訓練中、同じクラスの揚陸艦ニューオーリンズへの着艦に失敗したオスプレイの事故に言及。「いずれの事故も、還流したダウンウオッシュ(吹き下ろし)が艦体にはね返り、ローター(回転翼)の弧に入り込んだ」と分析しています。

 ダウンウオッシュは航空機の垂直方向の推力に伴って発生する下向きの気流です。オスプレイは地表近くで旋回すると嵐のような下降気流を発生させて周囲のものを吹き飛ばし、海上では渦巻きのような状態を起こします。こうした気流が複雑な動きを起こして機体にはね返り、高度の急激な低下につながったとみられます。

 さらに報告書は、甲板の「高さ」に着目。艦体が大きく甲板が海面から高い位置にある強襲揚陸艦に比べ、ドック型揚陸艦は一回り小さく、甲板が低い位置にあるため、「低い甲板の高さは、(ダウンウオッシュ)還流の、より短い経路となる」と指摘しています。

 また、報告書は、「人的ミスは一切なかった」ことも繰り返し強調。こうしたことから、洋上で強襲揚陸艦から他の艦船への移動が困難であるという、構造的な問題が浮かび上がります。

 在沖縄米海兵隊は事故からわずか4日後の17年8月9日に飛行再開を宣言。直後に北海道で行われた日米共同訓練への参加を強行しました。米海兵隊は、自衛官の目の前で、はげしい砂嵐をおこしながら演習場に着陸するオスプレイの写真を公開しています。


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