2018年5月15日(火)
石綿被害遺族 国を提訴
労災記録の不開示は違法
大阪地裁
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アスベスト(石綿)による労災記録を開示しないのは違法として兵庫県内の男性2人が14日、国を相手取り、不開示処分の取り消しを求めて大阪地裁に提訴しました。
訴状によると、男性はいずれも父親が石綿関連工場で働き中皮腫で死亡。死後に労災認定され、母親が遺族補償年金を受けていました。
最高裁は2014年、「泉南アスベスト国賠訴訟」で、対策を怠り健康被害を出したと国の責任を認定。厚生労働省は17年10月以降、同様の被害について賠償を受けられる可能性のある労災認定者や遺族に対し個別通知を行っていました。
原告は今年3月、同通知を受け取りましたが、遺族補償を受けていた母親がすでに死亡していたため、兵庫労働局に対し就労時期など賠償基準に該当するかの情報開示を請求しました。ところが、同労働局は「開示請求権を有していない」と不開示決定をしていました。
同日、記者会見した原告代理人の谷真介弁護士は、被害者が情報を請求しなくても、国は遺族に通知し自ら進んで補償するべきだと指摘。「被害救済への国の態度が問われている。判決を待たず開示を」と述べました。