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2018年5月15日(火)

主張

「加計」問題質疑

安倍首相の説明に説得力ない

 「加計学園」の獣医学部開設をめぐり、柳瀬唯夫元首相秘書官が先週の国会での参考人質疑で、学園関係者と3回も官邸で面会したことを認めながら、首相には「報告していない」「指示も受けていない」などと答えたことを受けた衆参予算委員会での安倍晋三首相への質疑を聞きました。首相は「報告を受けていない」と繰り返し、獣医学部開設に関わったことを改めて否定しました。柳瀬氏の答弁については「本件は、首相案件」などと言われたとの面会記録を作成した愛媛県の中村時広知事が反論しています。首相の答弁には説得力がありません。

柳瀬氏との口裏合わせ

 安倍首相と「加計学園」の加計孝太郎理事長が親しい友人であることを知りながら、学園が計画した獣医学部開設を、首相が推進した「国家戦略特区」を使って今治市が申請するよう助言したとされる柳瀬氏の、首相に「報告していない」という先週の答弁は全く信じられない話です。

 柳瀬氏は参考人質疑で、1回目の面会(2015年2~3月)で学園の計画を聞き、愛媛県や今治市の関係者が同席した2回目の面会(同4月)では「国家戦略特区」での獣医学部開設は首相の方針であることを説明し、今治市が「特区」に名乗りを上げた前後の3回目の面会(同6月)ではその報告を受けたと認めました。

 「特区」に申請した事業者で3回も首相官邸で首相秘書官と面会したところはありません。首相秘書官は首相の分身ともいえる公務員で、許認可や補助金で恩恵を受ける「特区」で特定の事業者に便宜を図れば、秘書官はもちろん首相の責任も問われます。首相の方針を熟知し、「加計」だけと3回も官邸で面会しながら何も報告しないというのはありえません。

 安倍首相は「報告を受けていない」と柳瀬氏の発言を肯定し、面会には「問題がなかった」と開き直りました。首相は国会で学園の計画を知ったのは昨年1月だと答弁してきましたが、柳瀬氏の答弁も首相の答弁も、文字通り「加計ありき」で進んだ開設への首相関与を否定するためだけの、口裏合わせのようなものです。

 柳瀬氏が「記憶の限り」愛媛県や今治市の関係者と会った「印象がない」とした2回目の面会については先週末、中村県知事が県職員の受け取った柳瀬氏の名刺や職員の発言メモなど証拠を示して反論しています。県が先に作成した記録には「本件は、首相案件」、「国家戦略特区」の方が「勢いがある」と言われたと明記されています。首相は柳瀬氏の答弁は「ウソではない」と言いましたが、いったい知事の反論をどう説明するのか。

 この問題ではすでに「総理のご意向」などの文部科学省の内部文書も明らかになってきました。否定しようとすればするほど、首相の関与はごまかせなくなります。

証人喚問で徹底究明を

 週明けの世論調査では、「加計」関係者との面会を首相に報告せず指示も受けていないという柳瀬氏の説明に「納得できない」が75・5%(「東京」など)、「疑惑が深まった」が74%(JNN)です。

 首相が関与して政治がゆがめられた疑惑はますます明白です。首相本人が真実を語るとともに、柳瀬氏や加計氏の証人喚問、中村知事らの国会招致が不可欠です。


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