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2018年5月11日(金)

主張

柳瀬元秘書官発言

安倍首相の責任ますます重い

 どんなに安倍晋三首相の関与を隠そうとしても隠し通せない―それを実感させたのが、「加計学園」の獣医学部開設に関する柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人質疑での発言でした。柳瀬氏はこれまで、愛媛県や今治市の関係者らと面会したことは記憶にないとしてきましたが、今回は学園関係者らと再三面会したこと、学園関係者とはそれ以前にも首相と一緒に会ったことを認めました。「本件は、首相案件」との発言は否定したものの、「国家戦略特区」での獣医学部開設は首相の方針と説明したことは認めました。首相の責任はますます重大です。

「加計ありき」の特別扱い

 首相の長年の友人、加計孝太郎氏が理事長の「加計」の獣医学部開設は、首相が推進した「国家戦略特区」に今治市などが指定されたのを使って決定されたものです(4月開校)。その過程で、開設は「総理のご意向」などと内閣府が文部科学省に伝えた文書の存在が明らかになり、柳瀬氏や当時の内閣官房参与、首相補佐官など首相官邸が関わって、政治をゆがめたと追及されてきました。

 柳瀬氏が今治市の「国家戦略特区」指定以前の2015年4月に県や市、学園の関係者と会っていたことは昨年から一部で報道されましたが、決定的になったのは今年4月、愛媛県が面会記録を公表してからです。柳瀬氏はその際も「記憶の限り、(県や市の方と)会っていない」と否定しました。しかしその後、証人喚問を求める世論などに追い詰められ、国会に参考人として出席したものです。

 柳瀬氏は15年4月だけでなく、2月から3月にかけてと6月ごろの計3回、学園関係者と官邸で会ったと認めました。「アポイント(予約)があれば面会する」「県や市の方は印象になかった」と答えるとともに、加計氏ら学園関係者とは13年5月首相の別荘で同席し、「面識があった」と述べました。

 首相の分身とされる首相秘書官が「アポイント」があった、面識があったというだけで、首相官邸という公的な場で誰とでも会うわけはありません。3回も面会したのは、それだけで「加計」が特別扱いされていたことを示すものです。柳瀬氏は首相からの指示や首相への報告はなかったといいましたが、説得力を持ちません。

 しかも日本共産党の宮本岳志衆院議員が追及したように、3回目の面会は今治市が「国家戦略特区」申請を決めた時期です。柳瀬氏は2~3月の面会で「加計」の獣医学部開設計画を知り、4月の面会で「国家戦略特区」に申請するよう勧めており、その報告だったことは明白です。「特区」の申請は学園ではなく今治市だったのに学園から報告があったこと自体、最初から「加計ありき」でことが進んでいたことは明らかです。

首相の説明は崩れている

 安倍首相は「(加計氏に)頼まれたことはない」といい、「加計」の計画を知ったのは学園が事業者に決まる直前の昨年1月だなどと説明してきました。日本共産党の田村智子参院議員がただしたように、「国家戦略特区」での獣医学部開設は首相の方針だったことを柳瀬氏も認めており、何も報告しなかったということはあり得ません。

 柳瀬氏や関係者の証人喚問、招致で、政治がゆがめられた疑惑の全容解明がいよいよ急務です。


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