2018年5月10日(木)
改ざん当然視 セクハラ擁護
安倍政権 倫理欠如の極み
麻生太郎財務相兼副総理が、閣僚どころか政治家としての資格・資質を問われる暴言を加速させています。任命・監督責任を問われている安倍晋三首相はこれに「苦言」の一つも呈することなく放置し続けています。政権のモラルハザードは極限に達しています。(中祖寅一)
麻生氏の暴言加速
「どの組織でも改ざんはありうる」。麻生財務相は8日の閣議後会見で、こう言い放ちました。
「公文書の改ざんに目くじらを立てるな」というなら、民主主義を根本否定するものです。財務省が森友学園への国有地の格安売却をめぐる決裁文書を改ざんし国会に提出していた問題では、自民党の閣僚経験者からも「議会制民主主義の根幹を壊す。国が壊れる」という厳しい認識が示されています。麻生氏の発言は、もはや閣僚どころか政治家失格です。
麻生氏はさらに、「組織全体ではなく、個人の資質によるところが大きかった」とも述べました。
ここには、官邸ぐるみ・政権ぐるみの公文書偽造で政権による国政私物化を隠したのではないかという疑惑に、全く向き合う姿勢がありません。保身だけが優先し、政権の危機にとどまらず、民主国家の在り方が危機的だという認識がゼロです。
世界の流れに逆行
他方、福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題をめぐり、麻生氏は「セクハラ罪という罪はない」と繰り返しました。
いま問われているのは、現役の財務事務次官が女性記者に対し執拗(しつよう)にセクハラ行為を行ったことが、女性の人権と尊厳を深く傷つけたということです。「罪ではない」などと繰り返すのは、麻生氏の異常な人権感覚を示すばかりか、二重三重に被害者とすべてのセクハラ被害者を傷つけるものです。
女性が性的犯罪や性的嫌がらせを受けながら、声をあげられない実態が日本社会に広範に存在します。そして今、その壁を打ち破ろうとして、「#Me Too(私も)」運動など国際社会の動きにも連動し、日本でも多くの女性が声をあげ始めています。
この歴史的状況を前に、政権幹部がこれに全く逆行する発言を繰り返していることは、個人の尊厳を核心とする立憲主義を破壊する安倍政権の体質を象徴しています。
問われる首相責任
麻生氏の暴言が是正されることなく、繰り返され加速するのは、安倍首相がその「盟友」である麻生氏を特別扱いし続け、放任しているからです。夏の自民党総裁選での3選にむけ麻生氏の支持を何としても失いたくないという政局的思惑もにじんでいます。
政治家としての資格すら失っている麻生氏に対する自らの任命・監督責任を放棄し続けることは、安倍首相自身の首相としての資格をも失わせています。
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