しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月9日(水)

主張

異常国会の打開

「森友」も「加計」も徹底審議を

 「森友」問題の公文書改ざんをめぐる資料提出や「加計」問題での柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問など、国会審議に関わる野党の要求に与党が「ゼロ回答」して正常な審議が行われなくなっていた国会は、異常事態の打開に向け、野党が大島理森衆院議長に申し入れ、議長が与党にも対応を求めて、審議が再開されました。「森友」や「加計」だけでなく、防衛省・自衛隊の「日報」隠ぺいや「働き方改革」法案に絡むデータねつ造など、国政を揺るがす大問題が山積しています。疑惑の全容解明と再発防止のため、徹底審議が不可欠です。

異常事態は与党の責任

 「森友学園」への国有地格安払い下げとそれに絡んで国会などに提出された公文書の改ざん、安倍晋三首相の長年の友人が理事長の「加計学園」獣医学部開設への官邸などの関与、自衛隊の海外派兵に関わる「日報」の隠ぺい、安倍政権が今国会で目玉にする「働き方改革」法案をめぐるデータねつ造などは、国会と憲法が踏みにじられてきた重大問題です。財務省前事務次官によるセクハラやそれをかばった麻生太郎財務相の居直りの妄言、幹部自衛官による国会議員への暴言などもありました。

 日本共産党など野党6党は連休前、安倍政権と自民・公明の与党に、国会審議の前提となる資料の提出や関係者の国会喚問などを申し入れました。国会にとっても異常事態なのに、与党が野党に「ゼロ回答」を続け、それどころか本会議や予算委員会、「働き方」法案を審議する委員会などで事実上与党単独の審議を強行してきたのは暴挙というしかありません。

 野党6党が連休明け、国会の運営に責任を負う大島議長に、事態を打開するために、諸問題の全容解明のための必要かつ十分な審議と、審議の前提となる資料・調査結果を政府が早急に国会に提出するよう、対応を求めたのは当然です。大島議長が「与野党が話し合える環境づくりを自分の責任で行う」と表明し、与党も結局、柳瀬氏の国会への参考人招致や財務省の資料提出、自衛隊の「日報」調査報告、集中審議などを受け入れました。不十分さはあるものの、議長の仲介で事態打開の方策が示されたものです。

 「森友」に絡む公文書改ざんは、財務省が1年以上にわたり改ざんした資料で国会と国民を欺いてきました。財務省は誰が何のために改ざんしたのか明らかにせず、改ざんを認めた14文書のうち13文書は国会に提出していません。全文書提出は待ったなしです。

 「加計」問題でも、首相の分身ともいうべき柳瀬元首相秘書官が事前に愛媛県や学園の関係者と面談し、「本件は、首相案件」などと発言していたことが県などの記録で明らかになっています。柳瀬氏の招致は審議の大前提です。

「記憶がない」通用しない

 柳瀬氏の招致は10日に行われる予定です。柳瀬氏はこれまで国会で、愛媛県や「加計学園」関係者などとの面談について「記憶がない」との発言を繰り返してきました。愛媛県などの記録が出てきても「記憶がない」と言い続けることはさすがに通用しません。

 「加計学園」や愛媛県関係者となぜ面談したのか。面談記録で「首相案件」と名指しされた首相の責任がいよいよ問われます。


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