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2018年5月8日(火)

主張

エネ基本計画案

いつまで原発に固執するのか

 今年夏までに政府が改定するエネルギー基本計画の骨子案を、経済産業省が先月末の審議会に示しました。原発について、骨子案は前回計画(2014年)の方針を踏襲し、引き続き「重要なベースロード(基幹)電源」と明記しました。一方で、世界で急速に主要電源としての役割を高めている再生可能エネルギーについては、依然として位置づけが不明確です。「原発ゼロ」を求める国民の声が広がっているのに、相変わらず原発依存に固執する安倍晋三政権の姿勢は民意に背くものです。

あくまで「基幹電源」に

 エネルギー基本計画は、電気など国民生活や産業の基盤となるエネルギー政策の中長期的な指針とするもので、ほぼ3年に1回改定されています。今月中旬にも計画案をまとめ、夏までに閣議決定をする予定です。

 経産省の骨子案は、2030年度の電力に占める原子力発電の割合を20~22%としました。現在の原発の割合約2%を10倍以上にするということです。この割合は4年前、東京電力福島第1原発事故後に安倍政権が閣議決定した内容と同じで、原発約30基分に相当します。原発事故に無反省のまま、原発を「基幹電源」として動かし続ける方針をあらためて確認しようとしていることは重大です。

 骨子案では原発の新増設については触れず、「可能な限り低減させる」としていますが、原発を「基幹電源」とする限り、両立しません。「原子力政策の再構築」を柱の一つとして打ち出したことは、開き直りというほかありません。原発は安全面ではもちろん、コスト面でも「基幹」にはなりえない電源です。

 福島原発事故の処理費は政府の見積もりでも21・5兆円に達し、どこまで膨らむかわからない状況です。青森県六ケ所村の使用済み核燃料の再処理工場は稼働のめどが立たないなど、政府が言う核燃料サイクルはすでに破たんしています。安倍政権は、4月にまとめた50年に向けた長期計画でも「主要選択肢」として原発にしがみついています。あまりに非現実的で、無責任な姿勢です。

 骨子案で、二酸化炭素の排出量が天然ガスにくらべ2倍程度多い石炭を、原発と並んで「基幹電源」にすえていることも大問題です。老朽化した石炭火力発電の建て替えや新増設をすすめており、地球温暖化防止の世界的枠組みであるパリ協定に逆行する安倍政権の方針は厳しい批判を浴びています。

 外務省の有識者会合の提言でも、「再生可能エネルギーの拡大で先行する諸国に(日本は)水をあけられ」、基幹電源に原子力や石炭が必要という考えは「すでに過去のもの」と指摘せざるをえません。

 骨子案では再生可能エネルギーについて「主力電源化に期待する」としましたが、世界的な流れからは立ち遅れが際立ちます。

「原発ゼロ法案」実現こそ

 原発と石炭火力発電の推進を前提にしたエネルギー基本計画の改定は許されません。日本共産党など4野党が共同で提出した「原発ゼロ基本法案」は、「原発ゼロ」の政治決断を迫るとともに、再生可能エネルギーの飛躍的な拡大へとすすむ現実的な道を示しています。市民と野党の共同の力で、エネルギー政策を転換させることが重要です。


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