2018年5月5日(土)
きょうの潮流
いま「0」ユーロ紙幣が世をさまよっています。きょう、生誕200年を迎えたカール・マルクスを記念して出身地ドイツ・トリーアの観光局が発行。各地から注文が相次いでいるそうです▼欧州の各紙が特集を組み、米国でもミレニアル世代の3割が好意的と答えるなど、世界中で注目が高まっているマルクス。まだ電気も電話もない、日本でいえば江戸から明治の時代の人物に、なぜこんなに引きつけられるのか▼先日、若者たちを中心に、現在の社会をマルクスから考えるという集いに参加しました。持てる者と持たざる者の格差、働くために生きているような日々、夢や希望をあきらめざるをえない人生。こうした現実を変えたいと▼そこにはマルクスが最初に名付け、仕組みを解き明かした「資本主義」社会のもうけ最優先がもたらした病理がありました。いまや資本主義のゆきづまりを口にする人は多い。19世紀に生きた思想家は資本主義をのりこえた先の未来社会まで展望したのです▼理論家としても、それを実践する革命家としても活躍したマルクス。その理論と姿を学ぶことで、いまも世界や日本でよりよい社会をめざして立ち上がる人びとは励まされ、勇気づけられています▼過酷な労働のもと搾取され続ける苦しみから逃れようと社会変革に情熱を燃やした若きマルクス、エンゲルスを描いた映画も公開中です。170年前に彼らが世に出した「共産党宣言」。最後の文句が現代によみがえります。“万国の労働者よ、団結せよ”