しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月5日(土)

主張

こどもの日

人格・権利が尊重される社会を

 きょうは「こどもの日」です。「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる」日として1948年に定められました。日本の子どもたちは一人ひとりの人格を大切にされているでしょうか。いま国連子どもの権利委員会は日本の子どもの権利が守られているか、4回目の審査をすすめています。

競争的環境の見直しこそ

 子どもの権利委員会は子どもの権利条約に基づいて設置されています。条約加盟国の政府が提出する報告とともに、子どもの権利にかかわる活動をしている民間団体からの報告も踏まえて、各国での子どもの権利条約の実施状況について審査します。

 日本については、これまで3回審査をおこない、98年、2004年、10年に日本政府への改善勧告を含む「所見」を出しています。3回の所見ではいずれも、日本の子どもたちが「高度に競争的な学校環境」のもとにおかれていて、発達をゆがめられ、不登校、中退、自殺など否定的な影響を与えている点を問題にしています。

 日本政府は、競争的な教育環境を見直すどころか、全国学力テストの導入などでいっそう激しくしてきました。いじめによる自殺は後を絶たず、不登校が増え、校内暴力も高い水準が続いています。

 にもかかわらず、4回目の審査にむけて安倍晋三政権が昨年、子どもの権利委員会に提出した報告は、「高度に競争的な学校環境」がいじめなどを助長しているという同委員会の指摘に対し、「(そうした)認識を持ち続けるのであれば、その客観的な根拠について明らかにされたい」と、開き直りともいえる態度を示しています。本気で「子どもの人格を重んじ、幸福をはかる」姿勢がまったくないといわざるをえません。

 日本政府がやるべきことは、学力テストの見直し・廃止など、子どもの権利委員会の指摘にこたえる施策です。

 「夏休みで(給食がなく)10キロやせた中学生」「修学旅行の積立金を取り崩し生活費にあてる親」―。「子どもの権利条約 市民・NGO報告書をつくる会」が子どもの権利委員会に提出した報告書にある子どもの貧困の実態です。

 貧困状態にある日本の18歳未満の子どもの比率は、15年の調査で少し低下しましたが、13・9%、約7人に1人と、国際的にみて依然高水準です。格差と貧困を広げてきた安倍政権の政策が改めて問われます。このうえさらに、生活保護の削減などで子どもを苦しめることは許されません。

 下着の色を指定する、生まれつき茶色の髪を強制的に黒染めさせるなど人権侵害にもあたる校則、「問題行動」に対し生徒の言い分も聞かずに罰則を機械的に適用するゼロトレランス(寛容度ゼロ)方式の生徒指導、なくならない体罰など、学校で子どもの権利が侵されている現状は深刻です。

子どもの意見を大切に

 子どもの権利条約は、子どもに影響するすべての事柄について子ども自身が意見を表明する権利を保障し、その意見が「相応に考慮される」と定めています。

 憲法と権利条約に基づいて子どもを社会の一員として尊重し、その声を聞き、幸せを保障していく―。「こどもの日」の趣旨にふさわしい政治への転換をいまこそ求めていきましょう。


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