2018年5月5日(土)
前次官セクハラを財務省は認めたが
大臣辞任せず、本人は認めず
幕引きは許されない
財務省は福田淳一前事務次官のセクハラを、4月27日にようやく認めました。週刊誌報道から2週間、しかも辞任後、6野党と国民の沸騰する怒りに押されての認定です。そのうえ処分は減給にとどめ、当の福田氏はセクハラを認めず、麻生太郎財務相もなんら責任を取ろうとしていません。早期の幕引きでうやむやにすべきでない問題が残っています。
週刊誌が取り上げたセクハラ発言に対し、同省は「悪ふざけ」「言葉遊び」といった福田氏の言い訳を無批判に発表しました。福田氏は、テレビ朝日が社員の被害を公表してもセクハラを認めませんでした。驚いたことに、同省は財政記者クラブ(財研)に対し、福田氏とやりとりした女性記者がいたら同省の顧問弁護士事務所に名乗り出るよう要請。調査方法を批判された矢野康治官房長は「弁護士に名乗り出るのは、そんなに苦痛なのか」と国会で答弁し、火に油をそそぎました。
さらに自民党の長尾敬衆院議員は、抗議する女性議員に対し「私にとってセクハラとは縁遠い方々」とツイッターに投稿。同党の下村博文元文部科学相は「(福田氏は)はめられた」「ある意味、犯罪」などと被害者を加害者のように中傷しました。
重大なのは、任命責任が問われる麻生財務相がセクハラ問題に真剣に向き合わず、むしろ二次被害となる発言を繰り返してきたことです。「はめられて訴えられたとか、意見はいっぱいある」との暴言を野党などに批判されても「そういう意見もあると紹介しただけ」と居直り、謝罪のそぶりさえ見せません。
財務省が福田氏の処分を発表したのは歴史的な南北首脳会談の最中。まるで世間の注目を避けるかのようなタイミングでした。
セクハラは人権侵害です。まずは加害者である福田氏が事実を認めて謝罪すべきは当然ですが、財務省の異常な調査を放置し、自身の発言で二次被害を拡大させた麻生財務相の謝罪と辞任も不可避です。これまでも多くの暴言を口にしてきた麻生氏を「適材適所」だとして閣僚にとどめてきた安倍晋三首相の任命責任も厳しく問われなければなりません。(和田肇)
麻生財務相 暴言の記録
〇…女性記者の名乗り出がなければセクハラを認定しないのかと問われ「相手の女性が出てこないとどうしようもない」。名乗り出は難しいとの問いに「福田の人権はなしってわけですか」(4月17日)
〇…テレビ朝日の抗議文に「もうちょっと大きな字で書いてもらった方が見やすいなと思った程度」。福田氏に対し「この一件で全否定されるべきではない」(同19日)
〇…福田氏に対し「はめられて訴えられているんじゃないかとか、ご意見がある」(同24日)
〇…財務省のセクハラ認定について受け止めを問われ「そういう報道、共同が配信したんじゃないの。共同に聞いたら」(同27日)