2018年4月30日(月)
主張
異常国会と与党
ことの重大性への認識がない
長年国会を見続けてきて、これほどの異常事態はまず経験がありません。公文書の改ざんや隠ぺい、データねつ造、さらには女性の人権を踏みにじるセクハラなど、政権を揺るがす問題が噴出する中、事態打開の責任を果たせと求める野党の要求を安倍晋三政権が拒否、それどころか「法案審議」などを口実に、事実上与党だけで強行するありさまです。主な閣僚は連休を理由に海外へ出かける一方、「働き方」法案は与党だけでの委員会審議を強行する構えです。異常事態の重大性への認識が政権にありません。政府と与党の責任は重大です。
国会の重要な役割害する
憲法で「国権の最高機関」(41条)と定められた国会は、「国の唯一の立法機関」(同)として法律を制定するとともに、権力分立の原則で、内閣やその下にある役所の仕事を監督するのが重要な役割です。首相を指名し、予算などを審議、内閣が間違ったことをすれば不信任や問責を決議します。憲法62条は議院の国政調査権を定め、63条で大臣の議院への出席を義務づけ、66条は「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ」としています。
改ざん、隠ぺい、ねつ造など国会審議の土台を破壊する事態が続く中で、日本共産党など野党6党が先々週の18日提出した4項目の要求は、審議の前提になる最低限のものです。
国有地を格安で払い下げた「森友」問題で虚偽答弁や公文書改ざんを重ねた疑いの佐川宣寿前国税庁長官と、女性記者に対するセクハラ行為で福田淳一前次官という財務省官僚トップの2人が辞任したのに、人事権者で監督責任を負う麻生太郎財務相が何の責任も取らないというのは通用しません。財務省は福田前次官に形ばかりの処分を決めましたが、麻生氏は「はめられた」とした自らの発言さえ撤回しません。こんな大臣の下での国会審議はあり得ません。
「森友」「加計」問題では全容解明のため、首相の妻の昭恵氏や関係者の国会への証人喚問がいよいよ必要になっています。「加計」問題では柳瀬唯夫元首相秘書官が官邸で愛媛県や加計学園の関係者と面談し、「本件は、首相案件」などと発言していたことが、県などの記録で明らかになっています。参考人招致で7回も「記憶」がないと繰り返した柳瀬氏を、証言拒否や偽証に問われる証人として喚問することが欠かせません。
「森友」に関する財務省の改ざん前の公文書も、防衛省・自衛隊の「日報」隠ぺいも、そのすべては公開されていません。これではだれが何のために改ざん、隠ぺいしたのかの全容が解明できません。与党が野党の要求に誠実に応えることは、審議のために不可欠です。
真相解明し、内閣打倒を
安倍政権が野党の要求に「ゼロ」回答したまま、本会議でも委員会でも「与党単独」の審議を繰り返すのは言語道断です。数の暴力で、国会に求められる役割を投げ捨てることは許されません。自民党の一部などで「衆院解散」が取りざたされているのも、「疑惑隠し」であり、論外です。
麻生氏の辞任や柳瀬氏の証人喚問はその気になれば直ちに決められます。国会審議の条件を整え、真相究明を通じて、安倍内閣を総辞職に追い込むときです。