2018年4月28日(土)
きょうの潮流
韓国の映画やドラマの舞台にもよくなる朝鮮王朝。李氏朝鮮(李朝)と呼ばれ、14世紀末から日本の韓国併合まで500年つづいた王朝は朝鮮半島における最後の統一国家でもありました▼朝鮮という国号を用い、今のソウルに都が置かれ、ハングルがつくられて頒布された時代。その李朝の近衛兵が着ていた伝統衣装に身をつつんだ儀仗隊が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長を迎え入れました▼世界中が注目した歴史的な南北会談。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金委員長が笑顔で手をつなぎ、軍事境界線を南から北へ北から南へ。分断を乗り越えた2人の姿は和解と融和を強烈に印象づけました▼実際に共同宣言では完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現する。この地や空や海で一切の敵対行為を中止し、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換する。南北の平和体制づくりと繁栄、そして統一に向けて力を合わせることで合意しました。「われわれは決して後ろには戻らない」(文大統領)と▼韓国の学校では会談の様子を特別授業にしたところも。同じ民族として、ひとつの歴史を歩んでいく。宿願への道筋をつけたことは次代をになう子どもたちにとってもすばらしい贈り物になるでしょう▼南北会談は北東アジアや世界の安定と平和に大きな足跡をしるしました。その成果を米朝会談につなげたい。苦難の歴史から新しい未来への歩み。人類史の前向きな動きを実らせるため、すべての関係国、とくに日本は主体的にかかわるべきです。