2018年4月27日(金)
きょうの潮流
テレビのワイドショーでコメンテーターが訳知り顔で説いていました。「野党も審議拒否などしないで堂々と国会の場で論議すればいい」▼ちょっと待って。今のままで、ほんとうにまともな審議をできるとお思いか。これだけ政権ぐるみの問題や不祥事が相次ぎ、証拠が明らかになっているにもかかわらず、調査も責任の所在もあいまいなまま。偽りと居直りの姿勢を押し通すなかで何を審議するというのか▼かつて法哲学で功績を残したドイツの思想家カール・シュミットは「議会は人が審議をし、討論の過程のなかで議論と反論との検証により、相対的な真理を獲得する場所である」とのべました。そして討論とは「自分が真理性と正当性について説得されることを目的とした意見の交換を意味する」▼うそをつくな、約束を守れ、弱者をいじめるな。こうした倫理観は国家権力が一部の利益に従属する状況においてマヒしていく―。憲法学者の杉原泰雄さんが著書『国民代表の政治責任』で語っています。政治責任なきところに民主主義は存在しない、と▼国会を欺きつづけ、国民に背を向け、議会や討論の土台を壊してしまった安倍政権。異常な事態をただし、正常に戻そうとする野党の要求にも、何一つまともに答えようとしていません▼「国民の信頼なくして政治を前に進められない」「事実に基づき、丁寧なうえにも丁寧な説明をしていく努力を重ねていきたい」。国権の最高機関で、うつろに響く首相の声。こんな国会に誰がした。