しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年4月26日(木)

主張

セクハラ異常対応

人権・尊厳無視の政権は退陣を

 辞任に追い込まれた福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題での安倍晋三政権の対応、麻生太郎財務相や自民党議員からの相次ぐ暴言に憤りを禁じえません。「はめられて訴えられたのでは(などの意見がある)」(麻生氏)「(今回のセクハラ告発は)ある意味で犯罪」(下村博文元文科相)などというのは、被害者を加害者呼ばわりするもので言語道断です。処分なしの福田氏辞任を了承した内閣の姿勢自体が大問題です。福田氏を擁護し、被害者に名乗り出ろと求めた財務省の対応に無反省の麻生財務相には資格がないのはもちろん、政権全体が厳しく問われます。

いまだに「はめられた」

 福田前次官辞任が閣議了承された直後の麻生財務相の会見は、セクハラ問題に反省のない安倍政権の姿を象徴したものでした。

 「週刊誌報道だけでセクハラがあったと認定して処分するのはいかがなものか。はめられて訴えられたのではないかなどと、いろいろな意見は世の中にはいっぱいある」―この期に及んでもセクハラを認めず、被害者を侮辱する発言を平然と繰り返す麻生氏の認識と感覚は全く異常です。この麻生氏に財務相・副総理という「内閣ナンバー2」の要職を任せ続ける首相も同罪という他ありません。

 だいたい辞任した福田前次官は、被害者が明らかになってもセクハラを認めず、裁判で争うと居直っています。福田氏が強気でいられるのは、財務省・政権が同氏の言い分を受け入れかばう姿勢に終始しているためです。問題発覚後、被害者に名乗り出ることを要求し、それがない場合はセクハラと認定できないとした財務省の対応は、セクハラ被害者救済、被害根絶にとって最悪・最低のやり方です。

 尊厳や人権を侵害された被害者は深刻なダメージを受け、傷ついています。その人に向かって名乗り出よというのは、新たに二次被害を引き起こし二重三重に被害者の人権を蹂躙(じゅうりん)するものです。

 しかし、財務省はこの呼びかけを撤回していません。名乗り出ることについて「そんなに苦痛なのか」と国会で答弁した財務省官房長が、福田前次官の職務を代行するとしています。反省のない財務省がまともにセクハラ問題に対処できるはずがありません。被害を認め、被害者に謝罪するのはもちろん、麻生氏は辞任すべきです。

 安倍首相側近の一人とされる下村元文科相の「(福田氏は)はめられてますよね。ある意味で犯罪だと思うけど」という講演での暴言、自民党の長尾敬衆院議員による野党女性議員らに対する侮蔑的なツイッターへの書き込みは本音が漏れたものではないのか。形ばかりの「撤回」や「謝罪」ですむ話ではありません。自民党総裁としての安倍首相の責任は免れません。

政権を担う資格はない

 政府・与党は麻生財務相の辞任や「森友・加計」での証人喚問などを求める野党の要求に一切応えず、数の力で国会審議を一方的に進め、「働き方」法案の審議入りも強行する構えです。さまざまな分野で疑惑や問題が噴出し、国民世論が真相解明と責任の明確化を求めているのに、それに背を向け暴走する安倍政権と与党が国会の異常事態をつくりだし、拍車をかけていることは明らかです。事態打開にも責任を果たさない安倍政権は退陣しかありません。


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