2018年4月26日(木)
国会の視点
国会審議の前提壊し放置するのか
異常事態正す野党要求
政権ぐるみの公文書改ざんや隠ぺいの疑惑、セクハラ被害を拡大するような財務省の対応など、安倍政権の下で、政府と国会・国民との関係が異常事態に陥っています。国会では、審議の前提が壊されているのに与党がそれを放置。打開の責任も果たさずに、野党欠席のまま質疑や採決を進めるというさらに異常な事態が続いています。
政府・与党は、いまや七つとも八つともいわれる重大疑惑・不祥事を引き起こし、世論の批判の前に口では「ウミを出す」(安倍晋三首相)などと言いながら、それにふさわしい打開策を何ら示していません。それどころか、真相解明と責任の明確化を求める野党に「ゼロ回答」を決め込んでいます。
一つでも内閣が吹き飛ぶような問題を起こしてきた政府・与党に対して、日本共産党など6野党が求めている、(1)麻生太郎財務相の辞任、(2)柳瀬唯夫元首相秘書官ら疑惑関係者の証人喚問、(3)森友公文書改ざん問題の調査結果の4月中の公表、(4)自衛隊「日報」隠ぺい問題の真相究明―の4項目は最低限の要求です。
いま起きている一連の疑惑・不祥事で共通するのは行政府が国会に対して見え透いたウソとごまかしでことを進めようとしていることです。
加計問題では、官邸で加計関係者と会ったことを示す愛媛県作成の文書や政府内でやり取りされたメールが発見されているのに柳瀬氏が“記憶はない”と強弁しています。柳瀬氏は昨年7月、国会で参考人として答弁した際にも“記憶はない”と繰り返しました。ウソを言えば偽証罪に問われる証人喚問でただすしかないことは明らかです。
セクハラ暴言問題でも、福田淳一前財務事務次官は、音声データの報道に加えて、テレビ局が自社の女性社員が被害を受けたことを明らかにしても、いまだに事実を認めず、居直り続けています。財務省は、被害者に名乗り出るよう求めるなど、二次被害を生みだし、社会全体の人権状況を後退させるような対応を繰り返しています。
さらに麻生財務相の「(福田氏が)はめられて訴えられたのではないかなどと、いろいろな意見がある」との発言は、政府・与党の異様さを示す新たな問題となっています。福田氏を罷免も処分もせず辞任を認めた安倍内閣の責任が問われています。麻生財務相は、森友公文書の改ざんの責任と合わせて辞任は当然の要求です。
防衛省が、存在しないとしてきたイラクや南スーダンの「日報」が大量に発見され、“戦場の真実”を覆い隠すために隠ぺいしてきたのではないか、「非戦闘地域」と言ってきたのが虚構だったのではないかということが大問題になっています。真相究明は不可欠です。
これらの問題で、政府・与党の責任ある回答が示されるまで、新たな日程に応じることはできないという野党側の主張は当然です。
国民主権も民主主義も破壊する大問題をそのままに審議再開などありえません。政府・与党は責任ある提案を示すべきです。世論調査でも圧倒的多数の国民が、疑惑の全容解明や麻生氏辞任を求めています。
ましてや「働き方改革」一括法案は、厚生労働省のデータのねつ造や過労死隠ぺいの「特別指導」の実態が暴露されて法案の根拠が崩れています。与党だけで審議入りをねらうなど論外です。
(藤原直)