2018年4月22日(日)
きょうの潮流
〽同じふるさとの土でありながら/南と北に引き裂かれた、怨恨千里の道/夜ごと、君を尋ね/夜ごと、君を求め/夢は、三八線上をさまよう▼第2次大戦の終わり、日本が支配していた朝鮮半島に米ソが引いたライン。それは一つの民族の土地と心を真っ二つに引き裂き、同胞が殺し合う朝鮮戦争の原因にもなりました。当時、「三八線の歌」は戦意喪失の恐れありと両側で禁じられたと伝えられています(『昭和の戦争10』)▼1950年6月25日。北朝鮮の軍事行動で始まった朝鮮戦争は、半島をローラーのように何度も戦場と化し、民間人をふくめ数百万の犠牲者を出しました。開戦翌年に休戦協議が開かれましたが、実際に休戦協定が結ばれたのは53年の7月でした▼「最終的な平和解決が成立するまで朝鮮における戦争行為とあらゆる武力行使の完全な停止を保証する」。以来65年がたちますが、いまだに平和条約は結ばれず、朝鮮半島の戦争は終わっていません▼27日の南北首脳会談では休戦から終戦へ、そして平和に向けた話し合いが議題にのぼるとも。米朝会談が予定されているトランプ米大統領もそれを支持すると表明しました▼平昌五輪を契機に劇的に展開する情勢。北朝鮮は核実験と弾道ミサイルの発射実験を中止し、核の実験場を廃棄するといいます。非核化と戦争終結によって、民族の積年の願いとともに、この地域に平和を実現できるか。歴史が大きく動こうとしているそのとき、日本政府は無為無策のままでいいのか。