2018年4月19日(木)
治療手遅れ 死亡63件
無保険など困窮 影落とす
民医連が発表
全日本民主医療機関連合会(全日本民医連、藤末衛会長)は、経済的理由で治療が遅れ死亡した事例が2017年に63件あったと18日、東京都内で公表しました。安倍政権が非正規雇用を増やす雇用政策や「自助・共助」を推し進め社会保障を削減する中で、憲法25条が保障する「生存権」が守られていない実態が明らかになりました。
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国の責任 検証必要
調査は全日本民医連に加盟する全国639の医療機関が対象。山本淑子事務局次長は「私たちの手の届かない所にも事例があるとの声が、現場から出ている」とのべ、63件はほんの一部の事例でしかないと強調しました。
死亡事例の51%が無職です。非正規労働者と自営業を含めると71%にのぼりました。
受診時に無保険や窓口で医療費10割負担の資格証明書などだったのは31例で、経済的困窮によるものが半数以上でした。40歳の非正規労働の男性は、車のローン約150万円があり国民健康保険料が払えず無保険に。呼吸が苦しく受診し、有効期間が短い短期保険証を取得しましたが、進行性肺がんで昨年3月に亡くなりました。
一方で、正規の保険証を持ちながら医療費の窓口負担が重く、治療中断・未受診の事例もありました。
岸本啓介事務局長は、国民健康保険の財政運営が都道府県に移行した問題について「健康権を守る点で最低限、国が責任を果たすよう検証が必要になっていく。私たちも現場から声を上げ、健康権を守る医療の実践を続けていく」と話しました。
全日本民医連は同日、経済的困難だけでなく、過酷な労働や家庭環境など社会的困難による口腔(こうくう)崩壊の事例をまとめた「歯科酷書」も発表しました。
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