しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年4月19日(木)

主張

底なしの疑惑拡大

首相の態度自体が不信深める

 安倍晋三首相は北朝鮮や貿易などの問題でトランプ米大統領と会談のため訪米中ですが、国内ではどの世論調査も内閣支持率が急落、安倍政権への不信が高まっています。森友学園への国有地格安払い下げや公文書の改ざん、加計学園の獣医学部新設での新事実、自衛隊の「日報」隠ぺいなど、「底なし」で疑惑が噴出しているのに、安倍内閣が解明を尽くさないためです。セクハラ疑惑で辞任する財務次官への対応も大きな怒りを呼んでいます。「内閣の長」である首相が、大臣や官僚に責任を押し付けていることが不信に拍車をかけています。首相の責任は重大です。

首相を「信用できない」

 新聞や通信社、テレビの最新の世論調査で、内閣支持率は31%(「朝日」)や37%(「共同」)に急落、中には20%台を記録した調査もあり、52%(「朝日」)、52・6%(「共同」)と半数を超えた不支持率との差は広がる一方です。特徴的なのは安倍首相が信用できるかとの問いに、「あまり」と「まったく」を合わせて「信用できない」が66%(「朝日」)、「加計」問題をめぐる首相の説明に「納得できない」が79・4%(「共同」)など、首相の姿勢そのものに国民の批判が集まっていることです。

 国有地を格安で払い下げ、国会などに改ざんした公文書を提出した「森友」も、首相の友人のために政治をゆがめ獣医学部開設を推進したとされる「加計」も、自衛隊がイラク派兵などの「日報」を隠し、文民統制を踏みにじったのも、いずれも国民主権と民主主義の破壊です。安倍政権で横行する「政治の私物化」と「強権政治」が引き起こしたことは明らかです。ところが安倍首相は自ら調査に乗り出そうとせず、政権に不都合な真実は強引に否定する言語道断な態度です。国民の不信と怒りが首相に向かうのは当然です。

 「加計」をめぐり、柳瀬唯夫首相秘書官(当時=現在は経済産業審議官)が「首相案件」などと発言した面会記録が愛媛県などで見つかったのに、「記憶」にないと否定した秘書官を首相が「信頼している」と持ち上げ、今回の訪米にまで同行させているのは疑惑隠しの最たるもので、首相自身が真相解明を妨げるものです。「記録」と「記憶」のどちらに真実性があるかは明らかです。柳瀬氏の国会での証人喚問は不可欠です。

 「森友」でも、首相は当時の「名誉校長」として疑惑の核心を知る立場の妻の昭恵氏の証人喚問を頑として受け入れません。「私や妻が関係していれば首相も議員もやめる」との首相の答弁(昨年2月)が改ざんの発端ともいわれており、昭恵氏らの喚問は免れません。

 福田淳一財務事務次官のセクハラ疑惑と一連の対応は、女性の人権と尊厳を蹂躙(じゅうりん)する大問題です。次官辞任ですまされません。

うみ出すなら自ら辞職を

 安倍首相は、次々と発覚する問題で、口先では「丁寧に説明する」とか「うみを出し切る」と言います。しかし実際には大臣や官僚任せで動こうとしません。かつて側近の甘利明経済再生担当相の「口利き」疑惑などで見せたのと同じ態度です。だいたい「森友」「加計」は首相にかかわる疑惑です。

 首相は大臣の任命権を持ち行政各部を指揮監督する立場です。本気でうみを出すなら、解明を妨げる首相自身の辞職が必要です。


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