2018年4月18日(水)
お金の心配なく学べる社会に
どう見る「高等教育無償化」
田村副委員長に聞く 3
奨学金被害者救済は急務
―奨学金の返済で困っている若者がいます。
高等教育無償化というのなら、自民党と公明党が推進した学費の高騰と奨学金のローン化によって現に生まれている被害者を放置することは許されません。
奨学金を借りた若者は、平均的なケースで300万円、多い場合には1000万円(大学院進学の場合など)もの借金を背負って社会人としてスタートしています。非正規雇用の広がりなどで、低賃金で働く若者が増え、そうした中で、自己破産に追い込まれる人が急増するなど“奨学金という借金”が若者の未来を押しつぶす事態が起きています。
自己破産が増える
―自己破産する若者が増えていますね。
奨学金返済者の自己破産件数は、2012年度に1320件でしたが、16年度は1・5倍の2009件にまで急増しています。
日本学生支援機構の奨学金は、返済能力のない18歳の若者と契約する制度です。返済する期限になっても返済能力がない場合もおこりえます。そのため、返済を減免する制度を整備しなければなりません。ところが主な減免制度である返還猶予制度(年収300万円以下などの条件で1年ごとに申請)は10年の期限がつけられています。期限が切れたら、「借金ゼロ」になる自己破産を選択せざるをえないのが現状です。
自己破産する若者が急増している事態を放置するならば、自己破産を恐れて、利用すべき若者が利用しなくなります。
返済方法の改善を
―どうすればよいのですか?
日本共産党は、奨学金返済が若者の生活を追いつめないように返済方法を改善することを提案しています。
第1に、奨学金を返済中の既卒者すべてを対象にした奨学金返済の減免制度をつくり、生活が困窮する場合の救済措置を講ずることです。
10年という返還猶予期間の上限を撤廃するとともに、25年間などの返済期間や年齢を条件に、所得に応じて残額を免除する制度にします。
第2に、延滞金、連帯保証人・保証料を廃止し、返済困難者への相談窓口を充実することです。
日本学生支援機構は、返済困難者を相手どって、年間6000件もの裁判を起こしています。現行の返還猶予制度さえ知らされずに、高利の延滞金を徴収され、さらに追いつめられるケースも後を絶ちません。「滞納すれば延滞金や裁判」という脅しの対策をあらため、返還困難者によりそった相談窓口こそ充実すべきです。
滞納者の事情を全く考慮せずに一律に課す延滞金は直ちに廃止します。
毎月の奨学金から保証料を天引きして、実際の奨学金額を減らす保証料徴収と連帯保証人制度を廃止して、政府保証にします。
第3に、卒業後の進路さえ見当もつかない大学入学前に毎月の返済額が決まる現行のやり方を改め、年収階層別に返済額を決めるなど、所得に応じて返済する制度にします。(つづく)