2018年4月16日(月)
無許諾利用拡大が狙い
畑野氏、著作権法改定案を批判
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著作権法改定案をめぐり、日本共産党の畑野君枝議員は11日、衆院文部科学委員会で質疑に立ちました。
現行法は、「技術開発・実用化の試験」など、著作権者の権利を制限することで著作物を利用できる具体的な条件を列挙しています。改定案は、デジタルネットワーク時代の著作物の利用に対応するためとして、従来の枠組みを変えて、抽象的な「柔軟な権利制限規定」を新たに設けるもの。日本共産党は、改定は著作者の権利保護を後退させ著作物の無許諾利用を拡大させたい産業界の要望だと批判しています。
「柔軟な権利制限規定」の創設について、畑野氏は「現行法に不備などがあり係争が続出するなど、法改正が必要な具体的事実があるのか」と質問。文化庁の中岡司・次長は「そういう事実はない」と述べました。法改定が、産業界からの要望であることが浮き彫りになりました。
また、著作権が制限される規定のうち「軽微な利用」について、畑野氏は「軽微か否か、誰がどう判断するのか」と質問。林芳正文科相は「『軽微』に当たる否かについては、最終的には司法の場で判断する」と述べ、規定があいまいであることから、裁判で争われることを前提としているとの認識を示しました。
同日の委員会では、改定案に関する参考人質疑がありました。
参考人として出席した、文化審議会著作権分科会前会長の土肥一史氏に、畑野氏は「著作権者の保護という観点から改正案をどう見るのか」と質問。土肥氏は「権利者の側から見れば一歩譲った内容」と述べ、改定案が権利者の保護を後退させるものであることが明らかになりました。
「障害者の図書利用推進に今後必要なことは何か」との畑野氏の質問に、竹下義樹・日本盲人会連合会長は、著作物を視覚障害者のために活用する場合の権利制限規定について、ボランティアなど実際に点訳等を担っている団体が対象外とされていることを指摘し、「政令を改正し対象に加えてほしい」と訴えました。