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2018年4月14日(土)

主張

熊本地震2年

取り残される人 出さぬ支援を

 熊本・大分両県に大きな被害を出した熊本地震から2年になります。プレハブの仮設住宅やアパートを借り上げた「みなし仮設」などでいまも約3万8千人が避難生活を強いられています。壊れた自宅をまともに補修できないまま倉庫などで生活する被災者もいることは深刻です。避難の長期化で体調を崩す人たちも増えています。被災者が一人も取り残されることなく生活と生業(なりわい)の再建の見通しができるまで、国と自治体が支援と援助を続けることが求められます。

住まい再建を支えてこそ

 熊本地震は震度7の激震が2度(14日夜と16日未明)も襲うという過去に例のないものでした。地震による直接の死者は50人、避難生活による持病の悪化など、震災関連死やその後の豪雨災害の犠牲者をあわせると、267人に上ります。

 熊本県内の住宅被害は約19万7千棟に達しました。住まいの再建がとりわけ急がれているのに、多くの被災者はさまざまな困難に直面しています。

 住宅の98%以上に被害が出た益城町では、壊れた自宅や作業用の倉庫などで寝泊まりしているいわゆる「軒先避難」の世帯が少なくありません。風呂やトイレなどを修繕するためにやむをえず応急修理制度を利用したために自宅に住めるとみなされて、仮設住宅に入る道が閉ざされ、冬場の寒さで何度も体を壊したという被災者もいます。実態を見ない機械的な制度の運用は見直しが必要です。

 被災者生活再建支援制度を改定し、半壊・一部損壊世帯へ適用対象を広げることは不可欠です。支給額も最大300万円から少なくとも500万円まで引き上げる法改正に踏み切るべきです。建設費の高騰などが被災者に重くのしかかり、自宅再建の重大な足かせになっていることからも、公的支援の拡充は急務です。熊本県内で着工が2割弱と遅れている災害公営住宅の建設が急がれます。

 住む場所が確保できない被災者にとって、仮設住宅は文字通り「命綱」です。移れる見通しがない被災者に厳しい条件をつけて退去を迫るやり方はとるべきではありません。住まいの再建こそ地域の復興の土台であり、被災者の実情に見合った柔軟な対応が国と自治体に求められています。

 避難者の約7割が住む「みなし仮設」(約2万8千人入居)での孤独死は、熊本県のまとめで16人に上っています。地震前に暮らした地域から離れ、周囲に知り合いもいない状態の人たちをきめ細かく支えることがいよいよ重要になっています。被災者の見回りなど行政の手だて、NPOの協力体制への支援などの検討が求められています。

 昨年9月末に熊本県で医療費の自己負担免除の特例措置が廃止されたことは大問題です。慣れない避難生活や環境の大きな変化などから、被災者は心身ともに健康を崩しがちです。医療費免除の復活は被災者に寄り添う支援の大前提です。

地震国の政治の責任

 阪神・淡路大震災や東日本大震災など地震災害が起こるたびに、問題が繰り返され、被災者に同じ苦しみがのしかかってきます。

 これまでの災害の反省と総括を踏まえた法整備など、抜本的な対策をとるときです。それが災害大国日本の政治の責任です。


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