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2018年4月11日(水)

加計新設へ官邸指南

“要請は総理官邸から聞いている”

本紙入手面会記録 内閣府の藤原次長(当時)

 学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、愛媛県、今治市の担当者と学園事務局長らは2015年4月2日午前に、内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)と会い「要請の内容は総理官邸から聞いており」「政府としてきちんと対応していかなければならない」と言われていたことが、本紙が入手した面会記録で分かりました。同日午後には、首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)から「本件は、首相案件」と伝えられており、同じ日に官邸側が強力な後押しをした形です。


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(写真)愛媛県、今治市の担当者と加計学園事務局長らと面会した際の藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)の発言記録

 藤原氏との面会記録は柳瀬氏の記録と同じく愛媛県が作成し、内閣府など複数の政府関係者に配布したもの。

 面会した日は、今治市が国家戦略特区で獣医学部新設の規制緩和を申請する2カ月ほど前です。今治市はそれまで構造改革特区による規制緩和を15回にわたり申請していましたが、獣医師の需要が足りていることから実現していませんでした。

 記録によると藤原氏は「要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知」と説明。「政府としてきちんと対応していかなければならない」「県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい」と語ったとされています。

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(写真)首相秘書官だった柳瀬唯夫氏(右)と内閣府地方創生推進室次長だった藤原豊氏(左)=2017年7月25日、参院予算委員会

 記録には「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と藤原氏が述べるなど、政府側が獣医学部新設を実現する方法を、詳しく指南していたことも記載されています。

 藤原氏は「ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい」と提案。獣医学部新設に反対していた日本獣医師会と「真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴」を出すように勧めていました。

 実際に、今治市は、15年6月5日に開かれた国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングで3枚のカラー資料を提示。「国際水準の獣医学教育特区」などとして、従来の獣医学教育との違いを強調していました。

 藤原氏は「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」とも説明。構造改革特区で何度も却下された規制緩和提案を、一官僚が太鼓判を押してすすめるのは異様で、官邸の意向をうかがわせる内容となっています。

 安倍晋三首相はじめ内閣府は、“加計ありき”で獣医学部新設が進んできたことを否定してきました。しかし、面会記録のやりとりには、加計学園が大前提だったことが明確に記されています。

“決定的内容 喚問しかない”

「首相案件」報道受け前川氏コメント

 文部科学省の前川喜平前事務次官は、「加計学園」の獣医学部新設で2015年4月に柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「本件は、首相案件」と述べたとされる問題で10日、参院議員会館内で記者団の取材に応じ、次のように述べました。

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(写真)記者の質問に答える前川喜平前文科省事務次官=10日、参院議員会館

 かなり決定的な内容です。2015年4月2日の時点で、すでに“加計ありき”で“加計隠し”が始まっていることを示す資料です。4月2日の会合で政府側は、構造改革特区はあきらめて国家戦略特区に切り替えましょうと提案しています。国家戦略特区ではじめから加計学園の獣医学部をつくらせるためにすべてのお膳立てをしていたことが分かります。

 また首相の意思表示がなければ「本件は、首相案件」などと絶対に言わない。首相秘書官は、事前に首相の了解や指示がなければ官邸で客と会いません。首相秘書官が官邸で会うということは首相の名代ということです。後で首相に報告もします。

 これまで政府はどんな文書が出てきても「記載の内容は事実ではない」と答弁してきました。今回も事実ではないと政府がいうのであれば、証人喚問しか方法はないでしょう。柳瀬氏や内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)、加計孝太郎・加計学園理事長など事情を知っている人はたくさんいます。


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