2018年4月11日(水)
きょうの潮流
ときはまさにヒトラーが世界征服を企て欧州全土に勢力を広げつつある頃。独裁者に屈するか、それともたたかうか。揺れるイギリスで首相を任されたウィンストン・チャーチルの映画が公開されています▼功罪分かれる歴史上の人物の一時期だけを切り取ったものですが、彼の演説は勇気を与えたといわれています。「われわれは決してひるまない。最後までたたかい抜く。いかなる犠牲を払っても祖国を守り抜く。断じて降伏はしない」▼葛藤しながらもファシズムとたたかうことを決断した指導者の言葉は、人びとの心をとらえました。その映画を先日、安倍首相が見たそうです。かつてないほどの異常な国会のさなかに。どんな感情が胸に湧いたのだろうか▼公文書の改ざんや、財務省がうそをつくことまで求めていた森友問題は「安倍事案」と。こんどは腹心の友が理事長をつとめる加計学園の獣医学部新設計画が「首相案件」と呼ばれていたことがわかりました▼建設地の愛媛県や今治市の職員、学園幹部が当時の首相秘書官と面会。その際に秘書官が「本件は、首相案件」と述べたと記された県作成の文書を朝日新聞が報じました。またもや、これまでの国会答弁が覆る内容です▼森友にしても加計にしても隠されてきた証拠が指し示す方向は、すべて首相夫妻や官邸の関与に向いています。国政を我が物としてきた彼らが発する偽りの言葉は、社会の土台を掘り崩しています。いかなる犠牲を払ってまで、だれを何を守り抜くのか―。