2018年4月7日(土)
非核化と平和体制構築を一体的、段階的に
――関係6カ国への要請
日本共産党幹部会委員長・衆議院議員 志位和夫
日本共産党の志位和夫委員長が6日、発表した「非核化と平和体制構築を一体的、段階的に――関係6カ国への要請」は次の通りです。
(1)
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南北首脳会談が4月27日に開催されることが決まり、続いて5月末までには米朝首脳会談が開催される動きとなっています。私は、北朝鮮の核・ミサイル問題の「対話による平和的解決」をめざす動きを歓迎し、その成功を心から願うものです。
日本共産党は、唯一の戦争被爆国・日本で、戦後一貫して核兵器廃絶のためにたたかってきた政党です。私たちは、北東アジア地域でのいかなる戦争にも強く反対し、北朝鮮問題の「対話による平和的解決」を求め続けてきました。
私は、北東アジアの平和に共同で責任を負うべき関係国が、今後、対話と交渉を進めるにあたって、次の二つの点を重視することを要請するものです。
(2)
第一は、朝鮮半島の非核化と、北東アジア地域の平和体制の構築を一体的・包括的に進めることです。
北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な核放棄をはじめとする朝鮮半島の非核化は、関係国の対話と交渉の最大の目標にされるべきです。同時に、それと一体に、北東アジア地域の平和体制の構築――南北、米朝、日朝の緊張緩和・関係改善・正常化を進めることが重要です。
北東アジア地域の平和体制を構築するうえで、非核化が不可欠の前提であることはいうまでもありません。同時に、非核化を進めるためには、朝鮮戦争の終結をはじめ戦争と敵対に終止符を打ち、地域の平和体制を構築し、北朝鮮を含む関係国の安全保障上の懸念を解決することが不可欠です。両者は一体的に同時並行で進めてこそ、実らせることができます。
そのロードマップ(行程表)の基礎として2005年9月19日の6カ国協議共同声明は、今日なお重要な意義をもつものです。1992年の朝鮮半島の非核化に関する共同宣言、2002年の日朝平壌宣言、2000年と07年の南北共同宣言、2000年の米朝共同コミュニケなども、今後の交渉の土台とすべき重要な国際合意です。
拉致問題は国際的な人道問題であり、その早期解決は日本国民の強い願いです。この問題を、05年の共同声明、日朝平壌宣言にもとづいて、核・ミサイル、拉致、過去の清算、国交正常化などの諸懸案を解決する包括的な取り組みのなかに位置づけ、解決をはかることを求めます。
積み上げてきた国際合意を実行に移す時です。関係国が05年の共同声明、一連の国際合意に立ち返って、非核化と平和体制の構築を一体的・包括的に進めることを要請するものです。
(3)
第二に、その実行方法にあたっては、合意できる措置を話し合って、一つずつ段階的に実施して目標に近づいていくことが、現実的方法だと考えます。
非核化と平和体制の構築は、目標として合意されても、一足飛びに実現することは困難でしょう。段階的措置によって、相互不信を解消し、信頼醸成をはかりながら進むことが現実的だと考えます。
この点についても、2005年の6カ国協議共同声明が「六者は『約束対約束、行動対行動の原則』に従い、……意見が一致した事項についてこれらを段階的に実施していく」ことを確認していることは重要です。
この原則に従い、北朝鮮が非核化の意思を表明し、それに向けた行動をとるまでは、国際社会が行っている北朝鮮に対する経済制裁は継続されるべきです。
05年の共同声明は、その具体化の過程で困難に直面し実を結んでいませんが、その原因は「行動対行動」の原則が守られなかったことにあることを指摘しなければなりません。関係国が、過去の教訓を踏まえつつ、この原則にそって、粘り強く交渉を進め、目標を達成していくことを要請するものです。
(4)
破滅をもたらす戦争は絶対に回避しなければならない――これはすべての関係国、そして国際社会の共通の強い願いだと信じます。敵対と不信から和解と協力への転換をはかることが、すべての関係国にとって、さらに世界の平和と安定にとって、巨大な利益となることも疑いありません。
そのために、すべての関係国が理性と英知を発揮して解決にあたることを重ねて要請するものです。
(2018年4月6日)